介護福祉士はどんな資格?受験の条件や勉強法について徹底解説! 更新時間 2023.11.10
社会全体で介護サービスへの需要が高まり、介護関連の資格が注目を浴びています。
そのなかで、特に人気の高い資格が「介護福祉士」です。
しかし、介護福祉士という名称は聞いたことがあっても、どんな資格なのか、どうやったら介護福祉士になれるのか知らない方も多いでしょう。
今回は、介護福祉士の資格について、国家試験の概要や受験資格、国家試験の勉強法にも触れ、介護サービス分野でのキャリア構築を目指す方に有益な情報を提供します。
介護業界で活躍したい方、キャリアアップを目指している方は、ぜひ参考にしてください。
介護福祉士とは?
介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格を持つ専門職です。
この資格を取得することで、高齢者や障がいを抱える人々に対する専門的なケアや支援を提供することができます。
介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格
介護福祉士は、厚生労働省が認定する国家資格であり、介護に関する知識やスキルを備えたプロフェッショナルです。
介護福祉士として、介護の現場で信頼性の高いサービスを提供できるだけでなく、公的な介護施設や機関での勤務が可能となります。
介護福祉士と介護士は何が違うの?
一般的に「介護士」という言葉が使われることがありますが、実際には「介護士」という資格は存在しません。
この表現は、「介護職員」や「介護スタッフ」と同様に、介護業務に従事する人々を指すための総称です。
具体的な資格としては、「介護福祉士」が挙げられ、これは国家試験に合格した専門職を指します。
つまり、介護職に従事する者たちの中には、介護福祉士資格を持つプロフェッショナルが含まれており、その他の介護スタッフも含まれているということです。
介護福祉士は高度な専門性を備えているため、その役割や責任は一般的な介護職とは異なります。
介護福祉士の主な就職先
介護福祉士は、資格を活かして様々な場所で活躍できる専門職です。
介護福祉士が主に働く場所について、詳しく紹介します。
1. 介護施設
介護福祉士が最も多く就職する先の一つが介護施設です。老人ホームや特別養護老人ホーム、デイサービスセンターなど、高齢者や障がい者の生活支援を行う施設で活躍します。
2. 病院・クリニック
介護福祉士は病院やクリニックでも需要があります。患者のケアやリハビリテーションのサポート、退院後のケアプランの立案など、医療機関での役割も重要です。
3. 在宅サービス
介護福祉士は在宅サービスにも従事します。自宅で生活する高齢者や障がい者に対して、訪問介護や生活支援を提供し、地域社会での生活をサポートします。
4. 行政機関
地方自治体や厚生労働省などの行政機関でも、介護福祉士が必要とされています。福祉政策の策定や福祉サービスの提供に携わり、地域社会の福祉向上に貢献します。
5. 介護関連企業
介護機器メーカーや介護サービス提供企業など、介護に関連する企業でも介護福祉士の専門知識が求められます。商品開発やサービスの企画・提供などに携わります。
これらの場所で働く介護福祉士は、専門的なスキルを活かして利用者や患者とのコミュニケーションを大切にし、安心できる環境を提供することが求められます。
他にも役立つ資格が多くあり「介護資格の種類はどのくらいあるの?スキルアップに取るべき資格を徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士の具体的な仕事内容について紹介します。
身体介護
介護福祉士の主な仕事の一つが身体介護です。
高齢者や障がい者の身体的なケアを行い、入浴や排泄のサポート、移動の補助など、日常生活における身体的なニーズに応えます。
生活援助
生活援助は、介護福祉士が利用者の日常生活全般にわたるサポートを行う仕事です。
食事の準備や食事のサポート、衣服の着脱の補助、掃除や洗濯など、生活全般にわたる援助が含まれます。
社会活動支援
介護福祉士は社会活動支援も担当し、利用者が社会とつながり、孤立しないようにサポートします。
就労支援や地域活動の情報提供、社会参加支援などが含まれます。
現場のマネジメント
経験豊富な介護福祉士は、施設内でのマネジメントやリーダーシップを担当することがあります。
介護職のチームリーダーとして、介護スタッフの指導や育成、業務管理を行い、施設内の円滑な運営に貢献します。
相談や助言
介護福祉士は専門的な立場から利用者やその家族、関係者に対して介護に関する相談や助言を行います。
介護保険や要介護認定に関する相談、介護サービスや福祉用具の案内、今後の介護方針の提案などが主な内容です。
介護福祉士になるには?
次に、介護福祉士になる具体的な方法について解説していきます。
介護福祉士になる方法は4つある
介護福祉士になるためには、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。
受験資格を得るには、以下のいずれかのルートを選択しなくてはなりません。
①実務経験ルート
②養成施設ルート
③福祉系高校ルート
④経済連携協定(EPA)ルート
4つのうち、定められた資格要件を満たして受験資格を取得する必要があります。
未経験から介護福祉士を目指すなら実務経験ルート
介護業務に未経験の方が介護福祉士を目指す場合、一般的には「実務経験ルート」が選ばれます。
このルートでは、介護事業所での実務経験を3年以上積み、かつ特定の研修を受講して修了することで受験資格を得ることができます。
実務経験ルートには2つの選択肢がある
実務経験ルートで介護福祉士になるためには、具体的には2つの選択肢があります。
介護事業所で3年以上(1,095日以上)、かつ従事日数が540日以上の介護実務経験が必要で、さらに以下のどちらかを選択します。
①「介護福祉士実務者研修」を修了する
②「介護職員基礎研修」(2012年度に廃止)と「喀痰吸引等研修」の2つを修了する
3年以上の実務経験だけでは受験資格を得ることはできません。
また、実務経験ルートを選ぶ場合、実技試験は免除されます。
介護職の資格についてもっと幅広く知りたいという方は 「介護職のおすすめ資格は?種類や受講費用、期間などをご紹介」もチェックしてみてくださいね。
介護福祉士国家資格の概要や合格率
介護福祉士国家試験について、詳しく解説します。
介護福祉士国家資格の試験概要
介護福祉士国家試験は、筆記試験と実技試験があり、それぞれ年1回実施されます。
試験日
第37回試験(令和6年度・予定)
・筆記試験 令和7年1月下旬 ・実技試験 令和7年3月上旬※第36回(令和5年度)介護福祉士国家試験の受験申し込みは、令和5年9月8日に終了
受験申し込み受付期間
第37回試験:令和6年8月上旬〜9月上旬
受験料
18,380円
試験地
筆記試験:北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
実技試験:東京都、大阪府
試験科目
①人間の尊厳と自立
②人間関係とコミュニケーション
③社会の理解
④こころとからだのしくみ
⑤発達と老化の理解
⑥認知症の理解
⑦障害の理解
⑧医療的ケア
⑨介護の基本
⑩コミュニケーション技術
⑪生活支援技術
⑫介護過程
⑬総合問題
合格発表日程
令和6年3月25日(月曜日)14時
受験資格
①介護福祉士養成施設(2年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方(※1)
②介護福祉士養成施設(1年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方(※1)
③3年以上(従業期間3年以上(1,095日以上)、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方(※2)で、実務者研修を修了した方(※3)
④3年以上(従業期間3年以上(1,095日以上)、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方(※2)で、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(第1号研修または第2号研修)を修了した方(※3)
⑤平成21年度以降に、福祉系高校に入学して、必要な科目を履修して卒業した方(※1)
⑥特例高校(高校:平成21~25、28~30年度・専攻科:平成21~25、28~31年度)に入学して、卒業した翌日以降に9ヶ月以上(従業期間9ヶ月以上(273日以上)、従事日数135日以上)介護等の業務に従事した方(※2)
⑦平成20年度以前に、福祉系高校に入学して、必要な科目を履修して卒業した方
⑧経済連携協定(EPA)であって、3年以上(従業期間3年以上(1,095日以上)、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方(※4)
(※1) 令和6年3月31日までに卒業する見込みの方を含む
(※2) 令和6年3月31日までに従事する見込みの方を含む
(※3) 令和6年3月31日までに修了する見込みの方を含む
(※4) 介護等の業務については、令和6年3月31日までに従事する見込みの方を含む
試験の申し込み方法
介護福祉士国家試験の受験申し込み方法は2つあります。
「公益財団法人社会福祉振興・試験センター」のインターネット受験申込サイトから申し込む方法と、郵送で申し込む方法です。
ただし、初めて申し込む方、過去に受験資格が確定していないと判定された方は、インターネットでの申し込みができません。
インターネットによる受験申し込みは、過去の試験で受験資格が確定している方を対象としているため注意してください。
郵送の場合は、まず受験申し込みに必要な「受験の手引き」を請求する必要があります。
第37回(令和6年度)介護福祉士国家試験の受験申し込み手続きの詳細は、令和6年7月上旬頃に案内する予定ですので、忘れずにチェックするようにしましょう。
合格率
介護福祉士国家試験の合格率は約70%です。
2021年度の第34回試験では、合格率が72.3%でした。
なお、受験者数は83,082人、合格者は60,099人です。
過去10年間の合格率の推移を見ると、受験資格が変更された第29回(2016年度)以降、合格率は上昇傾向にあります。
この高い合格率は、筆記試験がマークシート方式であるため解答が比較的容易であり、1回で合格を目指せる試験であることに起因しています。
ただし、合格するためには十分な学習が欠かせません。
きちんと計画を立てて勉強を行い、介護福祉士としての専門知識やスキルを身につけることが重要です。
介護福祉士国家試験に合格するための効率的な勉強法
介護福祉士国家試験は年に1回のみですので、確実に合格できるような勉強法を確立しておく必要があります。
効率的な勉強法を身につけ、合格を掴みましょう。
STEP1.試験の全体イメージを掴む
勉強を始める前に、介護福祉士国家試験の筆記試験における全体的なイメージをつかむことが重要です。
過去の試験で出題された問題や過去問を通じて、試験の傾向や出題範囲を把握しておきましょう。
出題される13科目が決まっているため、科目ごとに問題の傾向を把握し、自分の弱点や得意な科目を見極めておくこともポイントです。
全体のイメージを掴むことで、効果的な勉強計画をたてることができます。
STEP2.重要な要点を絞って暗記する
全体像を把握したら、各科目ごとに重要な要点を絞り出し、効率的に暗記しましょう。
ポイントを絞ることで、試験範囲に焦点を当て、無駄な時間を削減できます。
暗記が苦手な方にとっては避けたいと感じるかもしれませんが、何もすべてを暗記する必要はありません。
テキストの内容でも太文字や赤文字で書かれている箇所を抜き出し、重点的に覚えるようにしてみましょう。
STEP3.過去問を解いて弱点を克服する
効果的な学習の一環として、過去問を解いてみてください。
これにより、実際の試験形式に慣れるだけでなく、自身の理解度や弱点を確認することができます。
弱点が浮き彫りになれば、それに焦点を当てて徹底的に理解し、克服していくようにしましょう。
初任者研修についてもっと知りたい方は 「初任者研修のカリキュラムは?通信と通学の違いを徹底解説」を参考にしてみてください!
介護福祉士の資格を取得してキャリアアップを目指そう!
介護福祉士の資格について解説してきました。
介護福祉士は介護分野での専門性を示す国家資格であり、高齢者や障がい者への専門的なケアを提供できます。
介護福祉士国家試験を受験するには、養成施設ルートや実務経験ルートなど複数の取得方法があり、実務経験ルートでは介護事業所での経験が必要です。
効率的な勉強法として、試験の全体像をつかみ、重要な要点を絞って暗記し、過去問を解くことが挙げられます。
綿密な計画を立てて勉強を習慣にすることで、合格への効果的なアプローチが可能となるでしょう。
介護福祉士の資格を取得できれば介護分野での需要が高まり、安定した収入が得られるほか、地域社会に貢献できる仕事に就くことができます。
資格取得を通じて、専門職としてのスキルを磨き、キャリアアップを目指しましょう。