介護支援専門員のお仕事は?仕事内容や資格取得する方法を徹底解説 更新時間 2023.10.12
介護支援専門員(ケアマネージャー)は、介護を必要としている人と介護サービスを提供する事業所や施設とをつなぐ、橋渡し的な役割を果たします。
介護支援専門員を目指す人は、
「ケアマネジャーになるには資格が必要?」
「介護支援専門員の役割が知りたい」
といった疑問を抱えていることでしょう。
この資格は超高齢社会においてますます需要が高まっており、その活躍の場も多岐にわたります。
この記事では、介護支援専門員の役割や仕事内容、資格取得の方法について紹介しています。
受験資格や仕事の魅力についても詳しく解説しているので、最後までお付き合いください。
介護支援専門員とは?
介護支援専門員、通称「ケアマネジャー」とは、どんな役割を担い、どんなところで活躍しているのでしょうか?
介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割
ケアマネジャーとは、要介護・要支援認定を受けた方のケアマネジメントを担当する介護支援のスペシャリストです。
介護を必要とする方ができる限り自立した生活を送ることができるように、適切なサービスを受けるためのサポートを行います。
介護保険制度上の正式名称は「介護支援専門員」ですが、一般的にはケアマネジャーもしくは、ケアマネージャーと表記されることがほとんどです。
介護支援専門員の就職先
ケアマネジャーの主な活躍の場は、以下の通りです。
居宅介護支援事業所で勤務するケアマネージャーは一般的に「居宅ケアマネ」と呼ばれ、主な業務は自宅で生活する介護が必要な高齢者への支援です。
居宅ケアマネは実務経験を積み重ねることで、独立することが多く、特別養護老人ホームなどの施設でも活躍します。
一方、特別養護老人ホームなどの施設で働くケアマネージャーは、一般的に「施設ケアマネ」と呼ばれます。
業務の中心は入居者へのケアプランの作成であり、利用者の身近な存在として日常的に接することが特徴です。
そのため、利用者の小さな変化に気づく場面が多く、やりがいを感じやすい職場と言えます。
また、地域包括支援センターは地域住民に対して支援を行う機関で、主任ケアマネージャーと呼ばれるケアマネージャーが統括を担当しています。
介護支援専門員の平均年収
厚生労働省が行った「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、ケアマネジャーの平均月収は常勤で約35万円であり、これに基づく平均年収は約420万円となります。
賞与などの手当ては勤務先により異なり、働き方によっても収入は変動します。
介護業界は他の分野に比べて賃金が低い傾向がありますが、ケアマネジャーの平均月給は高めに設定されており、基本給も決して低くありません。
近年では働き方改革の影響もあり、国をあげて介護職員の賃金が見直されたのも1つの要因です。
もちろん、事業所により異なりますが、ケアマネジャーは介護系職種の中でも給与が高い職種といえるでしょう。
他にも役立つ資格が多くあり「介護資格の種類はどのくらいあるの?スキルアップに取るべき資格を徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
介護支援専門員の仕事内容
介護支援専門員の具体的な仕事内容について、詳しく紹介していきます。
ケアプランの作成や給付管理
ケアマネージャーは、介護を必要とする方が介護保険サービスを利用する際に、ケアプランを作成します。
高齢者の必要なケアを分析し、「アセスメント(課題分析)能力」が必要です。
アセスメントを通じて自立支援の目標を設定し、進捗を確認します。
また、介護給付費の管理や毎月のサービス利用実績の確認、書類の作成・提出なども担当します。
利用者・自治体・サービス事業者とのパイプ役
ケアマネジャーは、サービス事業所と利用者を繋ぎ合わせる調整役を行うのも重要な役割です。
自治体やサービスを提供する事業者と利用者の間に入り、連絡調整を行います。
その中で、利用者が事業所に不満や不安を抱えた場合、ケアマネジャーはその代弁役として事業所に意見を伝えたり、逆に事業所の考えを利用者に伝えたりして、調整役としての役割を果たします。
とくに、利用者は直接要望やクレームを言いづらいため、中立公平な立場でアドバイスや提案を行うのもケアマネの重要な仕事です。
介護サービスの提案・紹介
利用者本人や、その家族の要望に合った介護サービスの情報提供を行います。
居宅ケアマネジャーは、主に居宅サービスの利用支援を担当しますが、利用者が施設への入所を検討している場合には、施設の紹介や入所のサポートなども行います。
要介護認定に関する業務
自治体から要介護認定調査を委託されることがあります。
その際は、利用者宅を訪問して聞き取り調査を行います。
また、利用者や家族が行う要介護認定の申請や更新手続きの代行も、業務の一環です。
介護支援専門員の資格を取得する方法
介護支援専門員として活躍するには、資格を取得することが大切です。
ここでは、ケアマネジャーになるための方法や資格について詳しく解説します。
介護支援専門員の資格について
ケアマネジャーになるには、勤務先(または住居地)の都道府県で年に1回行われる「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。
試験をパスしたら、実務研修を修了後に各都道府県に登録が必要です。この公的資格は、2000年4月の介護保険制度導入に伴い、各都道府県知事の登録を受けるものです。
資格取得には、保健・医療・福祉に関する国家資格保有者としての実務経験が5年以上かつ従事日数は900日以上が必要です。
受験資格の条件は細かく設定されており、介護職員としての資質と深い経験が求められます。
また、高齢者の身体と心に関する知識や、介護保険に関わる法律や制度に関する知識も必要です。
これらの要素から見ても、比較的難易度の高い資格といえるでしょう。
介護支援専門員試験の受験資格
2018年度(第21回)試験から、介護支援専門員の受験資格は厳格化され、特定の条件を満たす人が対象となりました。
①特定の国家資格を保有している人
医師、歯科医師、薬剤師など特定の国家資格を保有し、かつこれらの国家資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上であり、従事した日数が900日以上であれば、受験資格を得られます。
② 介護施設などで相談援助業務に従事している人
国家資格を保有していなくても、生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として相談援助業務に通算5年以上の従事期間があり、900日以上の従事日数があれば、受験資格が与えられます。
各都道府県によって若干の異なりがあるため、受験資格の詳細は受験地の担当部署に確認し、把握することが重要です。
介護支援専門員の試験に必要な実務経験
ケアマネジャー試験受験には、「実務経験」の取得が必須です。
介護職からケアマネジャーに転身するためには、それぞれの保有資格によって所要の年数が異なります。
介護福祉士の資格がある場合
介護福祉士の国家資格を持つ場合、5年の実務経験があれば、ケアマネジャー試験に挑戦できます。
雇用形態には制限がなく、正職員やパート、登録型、派遣などでも受験可能です。
ただし、介護福祉士の資格を取得する前の経験はカウントされませんので、注意が必要です。
900日以上の従事日数も必要なので、休業期間の確認をしておきましょう。
介護職員初任者研修の資格がある場合
介護職員初任者研修を修了している場合、ケアマネジャーの資格取得には最短で5~8年かかります。
ケアマネジャー試験の受験には、介護福祉士などの国家資格が必要であり、介護福祉士の資格を取得するには、3年の実務経験(540日以上の従事日数)と実務者研修修了が必要です。
介護福祉士の資格を取得した後、5年の実務経験(900日以上の従事日数)を積むと、ケアマネジャー試験に挑戦できます。
無資格の場合
ケアマネジャー試験の受験には、国家資格である介護福祉士が必要です。
無資格からケアマネジャーを目指す場合、最短で8年かかります。
まず、介護職への入門資格である介護職員初任者研修を修了し、その後、介護職員初任者研修を取得している場合と同様に、3年の実務経験(540日以上の従事日数)と介護福祉士実務者研修の修了を経て、介護福祉士の資格を取得します。
実務者研修は、初任者研修を修了していなくても受講可能です。
しかし、初任者研修を修了してから実務者研修を受講する場合、基本的な介護の知識や技術が既に身についているため、一部の科目が免除されることがあります。
介護業務未経験から活躍したい方は、まず初任者研修を受講することがおすすめです。
介護福祉士の資格取得後、5年の実務経験(900日以上の従事日数)を積むことで、ケアマネジャー試験に挑戦できます。
介護職の資格についてもっと幅広く知りたいという方は 「介護職のおすすめ資格は?種類や受講費用、期間などをご紹介」もチェックしてみてくださいね。
介護支援専門員の魅力ややりがい
介護支援専門員になるには、豊富な実務経験が必要不可欠です。
介護業界は「仕事がきつい」「給料が安い」などマイナスな意見もある中で、介護支援専門員にはどんな魅力ややりがいがあるのでしょう。
詳しくみていきましょう。
利用者の快適な生活に貢献できる
介護支援専門員の魅力の一つは、利用者の快適な生活に貢献できることです。
利用者のニーズや要望に寄り添い、的確なサポートを提供することで、彼らがより豊かで充実した日々を送るお手伝いができます。
このやりがいは、仕事を通じて直接的な喜びを感じることができるポイントとなります。
多くの人と関わりながら働ける
介護支援専門員は、さまざまな人々と接する機会が豊富です。
利用者やその家族、他の介護関連のプロフェッショナルと協力しながら業務を進めるため、コミュニケーション能力や協調性を発揮することが求められます。
多様な人間関係を築きながら働くことが、仕事の魅力の一つとなります。
年齢を重ねても長く働ける
介護支援専門員の職業は、高齢者支援に関わる仕事であり、年齢を重ねても求められる存在です。
豊かな経験や知識を積み重ねながら、専門的なスキルを深めていくことができます。
介護支援専門員の勤務体系は、介護スタッフとは異なり夜勤もほとんどありません。
日勤がメインになるため、体の負担も少なく済むでしょう。
これにより、将来的にも安定して働き続けることができる点が、介護支援専門員の魅力の一つです。
初任者研修についてもっと知りたい方は 「初任者研修のカリキュラムは?通信と通学の違いを徹底解説」を参考にしてみてください!
介護支援専門員に向いている人の特徴
介護支援専門員に向いている人は、どんなタイプでしょうか?
ご自身に当てはまっているか、ぜひチェックしてみてください。
コミュニケーションを取るのが得意
介護支援専門員に向いている人は、コミュニケーション能力が高いことが重要です。
利用者やその家族と円滑に対話し、彼らのニーズや状況を正確に把握することが仕事の中心となります。
感情や意見を適切に受け止め、効果的なサポートを提供できるスキルがある方は、介護支援専門員に向いているでしょう。
事務処理能力がある
介護支援専門員は、利用者のケアプランを作成し、関連する書類や記録を適切に管理する役割があります。
事務処理において、正確かつ効率的に作業ができる処理能力が必要です。
細かなデータの入力や書類作成に、慎重かつ迅速に対応できるスキルが求められます。
公正中立な立場で支援できる
介護支援専門員は、公正中立な立場で利用者を支援する必要があります。
利用者や事業所スタッフの感情や意見に左右されず、公平な判断ができることが重要です。
利用者が抱える問題や課題に対して客観的かつ適切なアドバイスを提供し、利用者がより良い生活を送るためのサポートを行う役割が期待されます。
介護支援専門員の資格を取得して介護のスペシャリストになろう
介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格は、介護を必要とする人とサービスを提供する橋渡しの役割を果たす重要な資格です。
この記事では、ケアマネジャーの仕事内容や役割、資格取得のメリットについて詳しく紹介しました。
ケアマネジャーは超高齢社会においてますます重要な存在となっており、その需要は高まっています。
資格を取得することで、介護のスペシャリストとして活躍するチャンスが広がります。
また、仕事においては利用者と直接関わり、その喜びを感じることができるでしょう。
介護分野でのキャリアを築きたい方や社会に貢献したい方にとって、ケアマネジャーの資格取得は素晴らしい選択肢になります。
ぜひ、この機会に介護支援専門員の資格取得にチャレンジしてみてください!