社会福祉士とはどんなお仕事がある?具体的な業務内容を分かりやすくご紹介 更新時間 2023.10.20
福祉関連の職に興味を抱く中で、社会福祉士への道を考える方は少なくありません。
社会福祉士という職業をよく耳にしますが、どんな場所でどんな仕事をしているのか、具体的にご存知の方は多くないでしょう。
そこで本記事では、社会福祉士の役割や職務内容を詳しく紹介します。
社会福祉士が活躍する場所や具体的な仕事内容も解説しますので、今後資格を取得しようと考えている方は、ぜひご参考にしてください。
そもそも社会福祉士とは
社会福祉士は「ソーシャルワーカー」とも呼ばれ、福祉に関する相談や助言、アドバイスを提供する国家資格です。
生活に支障のある人への支援や困りごとの解決を担当し、身体的・精神的・経済的なハンディキャップがある方に対して総合的なサポートを行います。
社会福祉士は地域を基盤として活動し、他の専門職との連携や社会資源の開発も行います。
社会福祉士の資格
社会福祉士は、介護福祉士・精神保健福祉士とともに社会福祉専門職の国家資格です。
福祉の相談援助において高度な専門知識・技術を有しており、福祉や医療の相談援助において重要な役割を果たします。
資格取得者は「社会福祉士」として認知され、福祉や医療の相談や支援業務に必要な知識や能力を有していることを示すことができます。
国家資格には「名称独占」と「業務独占」の2種類の資格がありますが、社会福祉士の資格は「名称独占」です。
社会福祉士の資格がなくても業務を行うことはできますが、資格を有する者だけが「社会福祉士」と名乗ることができます。
社会福祉士の役割
日本には、生活上のさまざまな課題や不安、悩みを抱える方がたくさんいます。
サービスの情報不足や制度の不十分さ、経済的な理由などが原因で、適切な支援を受けることが難しい場合も少なくありません。
社会福祉士は、こうした方々との橋渡し役として、相談者と社会を繋ぐ役割を果たしています。
面談を通じて相談内容や状況を理解し、適切なサービスの提案や助言を行うのも社会福祉士の重要な役割です。
地域や経済的な面も考慮し、利用者の意向に合わせたサービスの決定や関係機関との連絡・調整を重要視しています。
社会福祉士が活躍する場所
社会福祉士は、社会全体で支援が必要な人々に対して相談や支援を提供する専門職で、さまざまな就職先が存在します。
主な活躍の場は、以下の通りです。
- 児童相談所・児童福祉施設
- 高齢者施設
- 学校
- 障がい者支援施設
- 医療機関
- 保健所・保健センター
- 社会福祉協議会・地域包括支援センター
- 役所の福祉課
児童相談所や児童福祉施設では「児童福祉司」として、特別養護老人ホームや介護老人福祉施設では「生活相談員」として勤務します。
また、学校では「スクールソーシャルワーカー」としても活躍し、職場によって異なる働き方が可能です。
1987年の法制定以来、少子高齢社会の進展と福祉課題の増加に対応し、ますます重要視されています。
さまざまな場所で活躍し、社会に貢献する役割が期待されています。
他にも役立つ資格が多くあり「介護資格の種類はどのくらいあるの?スキルアップに取るべき資格を徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
社会福祉士の業務内容
社会福祉士の具体的な業務内容を解説します。
働く場所が違っても、社会的な役割や業務はほとんど変わりません。
ヒアリング業務
社会福祉士はクライアントとのヒアリングを通じて、生活上の問題や悩みを把握し、その人に最適な支援策を見つけ出す役割を担います。
感情を尊重し、コミュニケーションスキルを駆使してクライアントとの信頼関係を築きながら、具体的なニーズを明確にしていきます。
管理業務
社会福祉士の仕事には、利用者が安心して支援サービスを利用できるよう、手続きや環境整備などが含まれます。
さらに、サービス提供後も適切な記録を保ち、プランの実施や評価を円滑に進めることで、クライアントのサポートを迅速かつ効果的に行います。
データの保護と機密性の確保も含め、正確でスピーディーな事務処理能力も必要不可欠 です。
介護業務
社会福祉士は高齢者や障がい者など、支援が必要な個人や家族に対して介護計画を策定し、その実施をサポートします。
具体的な介護サービスの調整や提案を行い、クライアントがより良い生活を送れるようサポートします。
関係機関との調整役
社会福祉士はさまざまな機関と連携し、クライアントのために必要なサービスや支援を円滑に提供できるよう調整を行います。
支援サービスが受けられるよう提案して終わりではなく、今のサービスが本当に適切かを常に検討することが重要です。
地域の資源を活用し、医療機関や行政と協力して、クライアントのニーズに最適なプランを実現するために努めます。
社会福祉士になるには?
社会福祉士になるための方法や条件について解説します。
社会福祉士国家試験に合格する
社会福祉士を目指すには、まず国家試験に合格する必要があります。
ただし、この国家試験は受験資格がないと受けることができません。
基本的には、社会福祉士国家試験の指定科目を含む大学で4年間学び、受験資格を取得します。
それ以外の場合は、国が指定した社会福祉士養成施設で定められたカリキュラムを修了し、受験資格を得ることができます。
社会福祉士国家試験の受験資格
先述した通り、社会福祉士の受験資格取得方法はさまざまです。
福祉系大学卒業以外にも12通りの選択肢があります。
代表的な方法は福祉系大学卒業ですが、それ以外でも受験資格の取得が可能です。
以下は、主な受験資格の条件です。
①福祉系4年制大学で指定科目を修めて卒業した方
②2年制(又は3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(又は1年以上)相談援助の業務に従事した方
③社会福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した方
④社会福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した方
短大や大学を卒業していなくても、児童福祉司や身体障害者福祉司としての実務経験が4年以上ある場合に、短期養成施設で6月以上修学すると、社会福祉士国家試験の受験資格を得られます。
福祉系の大学で基礎科目を履修している場合も同様です。
社会福祉士国家試験の難易度
社会福祉士国家試験の合格基準は、総得点の約6割です。
総得点150点の場合、90点前後が合格の目安となります。
ただし、難易度によって補正が入るため、近年の合格基準は85点~90点前後となっています。
最近の合格率は以下のとおりです。
- 第35回社会福祉士国家試験 …… 44.2%
- 第34回社会福祉士国家試験 …… 31.1%
- 第33回社会福祉士国家試験 …… 29.3%
福祉系国家資格の中で比較すると、精神保健福祉士が71.1%、介護福祉士が84.3%の平均合格率です。
社会福祉士はこれらよりも難易度が高く、福祉系国家資格の中では最難関とされています。
介護職の資格についてもっと幅広く知りたいという方は 「介護職のおすすめ資格は?種類や受講費用、期間などをご紹介」もチェックしてみてくださいね。
社会福祉士になるメリットとデメリット
社会福祉士になることには、さまざまなメリットとデメリットが存在します。
その一部をご紹介します。
社会福祉士になるメリット
1. 社会貢献: 社会福祉士は、支援を必要とする人々に対して支援や相談を行う重要な役割を果たし、社会に貢献することができます。
2. 多岐にわたる職場: 病院、学校、福祉施設など、さまざまな職場で働くことができ、幅広い経験を積むことが可能です。
3. 豊富な専門知識: 社会福祉士は高度な専門知識を身につけ、さまざまな課題に対処できるスキルを磨くことができます。
社会福祉士になるデメリット
1. 高度なストレス: 依存症、虐待、貧困などの問題に直面し、クライアントの苦しみに触れることがあり、心理的な負担が大きいことがあります。
2. 厳しい資格取得条件: 社会福祉士国家試験は難関であり、合格までの道のりが険しいため、厳しい努力が必要です。
3. 低い給与水準: 社会福祉の現場では、仕事のハードさと比較すると、給与水準が低いことがあります。
社会福祉士の需要や平均収入
社会福祉士を目指す際には、職業の将来性や生活水準を理解しておくことが重要です。
需要や収入を知ることで、社会福祉士になる目標を明確にすることができるでしょう。
社会福祉士の需要は高く将来性がある
社会福祉士は福祉施設、医療施設、介護施設、学校、少年院などさまざまな分野で活躍しています。
求人需要は年々増加しており、将来的にも他の分野への転職が可能なため、安定した職業といえるでしょう。
技術の進化による機械化が進む中、社会福祉士の仕事は淘汰されにくいのも特長の1つです。
AIやロボットが多くの仕事を変えつつあるなか、社会福祉士は人とのコミュニケーションが中心となる業務が求められています。
高齢者や障害者の困難に対して直接対話し、解決策を見つけていく仕事は、機械化が難しい領域です。
社会福祉士の平均年収
令和2年度における、社会福祉士の平均年収は403万円でした。
性別で表すと、男性は473万円、女性は365万円です。
公的機関での勤務では、資格手当や福利厚生が充実しています。
社会福祉士は経験を積み重ねながらスキルアップが可能で、国家資格としての認識はキャリアアップやキャリアチェンジにも強みとなります。
ソーシャルワークのスキルは福祉分野で共通していますので、異なる支援分野への転職にも経験が反映され給与にも寄与することが期待されます。
初任者研修についてもっと知りたい方は 「初任者研修のカリキュラムは?通信と通学の違いを徹底解説」を参考にしてみてください!