司法試験に受験資格はある?高卒や中卒でも受けられる方法を紹介! 更新時間 2023.11.01
司法試験を目指すにあたり、ご自身の学歴や年齢に不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
結論からお伝えしますと、司法試験の受験にあたっては、特定の制限は設定されていません。
ただし、受験資格を得る手段によっては、実質的な制約が生じることもあります。
受験自体は可能であっても、合格後の法曹界での活動において特定の条件が求められる場合も考慮すべきです。
今回は、司法試験の受験に焦点を当て、資格に関する制限について注目すべきポイントを解説いたします。
受験を検討されている方が、安心して司法試験を目指せる情報を提供します。
司法試験の受験資格は3通り
司法試験を受験するには、特定の資格や学歴が必要な場合もあります。
以下では、受験資格を得るための3つの主要な方法について紹介します。
司法試験予備試験に合格する
最も一般的な受験資格の1つは、司法試験予備試験に合格することです。
この試験には学歴や年齢の制限がないので、高卒や中卒を問わず、誰でも受験資格を得ることができます。
予備試験では、通常、7月に短答式試験が行われ、その後9月に論文式試験が行われます。
これらの試験に合格した場合、翌年の1月に実施される口述式試験にも合格すれば、最終的に司法試験の受験資格を得ることができます。
法科大学院課程の修了
2つ目の受験資格の取得方法は、法科大学院課程を修了することです。
法学部の学位を持っていることが前提条件であり、法科大学院での専門的な教育を受けた後、司法試験を受験する資格が得られます。
以前は、受験資格を得るには法科大学院を修了する必要がありました。
しかし、令和5年(2023年)からの司法試験では、在学中であっても所定の単位を取得し、かつ1年以内に修了見込みであれば受験が認められます。
ただし、修了までの期間は法学既習者が2年、法学未修者であれば3年が必要です。
また、受験資格の有効期限は卒業した次の年から5年が経過するまでですので、期限には注意しましょう。
法曹コース
2020年度からは法曹コースが新たに導入されました。
これは、従来の法科大学院ルートが受験資格取得までに時間的・経済的な負担が大きいという課題に対処するために整備されたものです。
法曹を目指す学生は、通常の法学部(4年間)の代わりに法曹コースに入学し、3年間で早期卒業後、法科大学院(既修者コース)で2年間の学習を行います。
つまり、最短で5年間で司法試験の受験資格を取得することが可能です。
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高卒や中卒でも司法試験を受験できる?
司法試験は一般的に高度な学歴や資格が必要とされがちですが、実際には高卒や中卒の方でも受験が可能な方法が存在します。
最も一般的なルートは、司法試験予備試験に合格することです。
この試験は大学卒業や法学部の学位が不要で、一定の成績を達成すれば誰でも受験資格を得られます。
高卒や中卒の方もこのルートを選び、勉強を通じて資格を手に入れることが可能です。
もう一つの道は、大学に入学・卒業したあと、法科大学院課程に進学することです。
高卒や中卒の方でも、一定の条件を満たせば法科大学院に進学できます。
修了後には司法試験の受験資格が得られますが、この道は学習コストや時間がかかるため、検討が必要です。
要するに、高卒や中卒でも司法試験を受験する道は開かれています。
適切な方法を選び、充実した準備をすることで、法曹の道に進むことができるでしょう。
司法試験の受験資格には「有効期限」がある
司法試験の受験においては、有効期限に注意が必要です。
法科大学院を修了した場合も、予備試験に合格した場合も、司法試験の受験資格には「有効期限」が設定されています。
具体的には、「法科大学院修了または予備試験合格から、5年間で5回」という制限があり、この期間内に司法試験に合格しなければなりません。
もし期限内に司法試験に合格できない場合は、再び法科大学院を修了するか、予備試験に合格する必要があります。
いずれにしても、5年以内には必ず合格する覚悟で挑む必要がある、ということです。
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ルート別|司法試験の合格数や合格率
司法試験を受験する際には、異なるルートに進むことによって合格率や合格数に違いが現れます。
以下は、主要な受験ルートごとの合格数や合格率の傾向です。
予備試験ルートは80〜90%台
まず特筆すべきは、予備試験合格者の司法試験合格率が非常に高いことです。
2023年(令和5年)の予備試験合格者の司法試験合格率は、なんと92.6%(327名)でした。
予備試験自体は合格率が3〜4%程度と非常に低く、「予備試験に合格すれば司法試験にも合格できる」と言われるような超難関の試験です。
短期で合格できれば法科大学院に通うよりも時間的・金銭的負担が少なく済みます。
また、予備試験の合格者は司法試験の合格率が高く、その結果、就職やキャリアで高い評価を得られることがメリットです。
法科大学院ルートは20〜40%台
一方で、法科大学院課程を修了するルートは合格率が比較的低い傾向があります。
2023年の法科大学院ルートでの司法試験合格者数は1,454名でしたが、その合格率は40.6%でした。
法科大学院は、特に合格率が高い法科大学院が人気を集めており、逆に結果が出ていない法科大学院は合格者や合格率の点で課題を抱え、一部では募集停止の措置が取られるところも増えています。
法科大学院ルートのメリット・デメリット
法科大学院ルートは、司法試験を受験するための一つの道であり、その選択にはいくつかのメリットとデメリットが存在します。
メリット
法科大学院ルートの最大のメリットは、高度な法学の専門知識を身につけることができる点です。
専門的な授業や実務経験を通じて、法曹に必要なスキルや知識をより深化させることが可能です。
これにより、合格後はより専門的で幅広い法的な業務に携わることが期待されます。
また、法科大学院出身者は、司法試験の合格率こそ際立っていないものの、その資格を持つことで法曹としての信頼性が高まり、法律業界でのキャリアの幅が広がります。
法科大学院での学習経験は、職業的なアドバンテージとなり得るでしょう。
デメリット
一方で、法科大学院ルートにはいくつかのデメリットも考えられます。
まず、学習には多くの時間と労力、費用がかかります。
専門的な知識を獲得するためには、通常3年以上の学習期間が必要であり、これが他の受験ルートよりも時間を要する一因となります。
さらに、法科大学院に進学するにはある程度の学歴や資格が必要であり、これが進学のハードルの要因です。
そのため、大学卒業後にすぐに法科大学院に進学することが難しい場合があります。
また、法科大学院の学費は、他の受験ルートよりも高額であることも考慮しなければなりません。
他にも役立つ資格が多くあり「介護資格の種類はどのくらいあるの?スキルアップに取るべき資格を徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
予備試験ルートのメリット・デメリット
ご存知の通り、予備試験ルートには最短で司法試験が受験できるというメリットがあります。
しかし、同時にいくつかのデメリットも存在しますので、じっくり見ていきましょう。
メリット
予備試験ルートの最大のメリットは、大学卒業や法学部の学位がなくても受験できることです。
これにより、異なるバックグラウンドを持つ多様な受験生が受験資格を得ることができ、法曹界のダイバーシティが広がります。
また、予備試験の場合、法科大学院ルートよりも学習コストがかかりません。
大学や法科大学院に進学せずとも、合格すれば法曹としての資格を手に入れることができるため、経済的な負担が軽減される点も魅力的です。
さらに、就職や転職においても、予備試験ルートは優遇される傾向があります。
いわゆる5大法律事務所と呼ばれる大手事務所には、多くの予備試験合格者が採用されており、キャリアを形成する上でも非常に優位です。
デメリット
一方で、予備試験ルートにはデメリットも存在します。
1番の難点といえば、合格率の低さでしょう。
合格率3〜4%前後と、非常に狭き門です。3〜5年かけて合格を目指す人もいますので、「法科大学院ルートの方が早かったのでは?」というケースも少なくありません。
さらに、予備試験は独学が一般的ですので、学習の方向性で迷ったりモチベーションが低下したりといったデメリットがあります。
法科大学院と予備試験の受験資格
法科大学院と予備試験は、異なるルートで司法試験を目指すための手段です。
それぞれの受験資格について詳しく見ていきましょう。
法科大学院の受験資格とは?
法科大学院に受験資格を得るためには、大学卒業または同等の学歴を持っていることが一般的です。
大学で法学部を卒業したり、他の学問を専攻した後に法科大学院に進学することが求められます。
学歴だけでなく、合格するためには適切な学力や専門知識も必要です。
法科大学院では、法律に関する高度な教育を提供し、将来の法曹としてのスキルを磨きます。
予備試験の受験資格とは?
予備試験の受験資格は比較的柔軟です。
大学卒業や法学部の学位は必要ありません。
一定の学力や成績を保持していることが主な要件です。
このルートは、異なる学問のバックグラウンドを持つ人々にも門戸を開いており、法曹に進むための新たな可能性を提供しています。
予備試験は、広範な分野の知識を持つ個々の候補者が平等に受験できるようになっています。