介護美容を学びたい!取得方法や必要な資格を解説! 更新時間 2023.08.10
年齢を重ねても、美容に対して意識を持っていたいと考えるのは自然なことです。
病気や障がいが原因で身だしなみの維持が難しくなる人々にとって、介護の現場で美容ケアを受けることは、身体的にも心理的にもプラスの効果があります。
近年では、利用者にメイクやネイルを提供する介護施設が増えており、介護美容の需要が高まっています。
今回は、介護美容を学びたい方に向けて、資格の種類や資格を活かせる場所についてまとめました。
介護職や訪問美容に興味がある方も、参考になる内容です。
ぜひ最後までお付き合いください。
介護職の資格についてもっと幅広く知りたいという方は 「介護職のおすすめ資格は?種類や受講費用、期間などをご紹介」もチェックしてみてくださいね。
そもそも介護美容とは?
介護美容とは、高齢者の心と身体の両方に効果をもたらす「新しい美のセラピー」です。
その魅力と重要性、なぜ多くの人が注目しているのかを詳しく見ていきましょう。
介護美容は高齢者を笑顔にするセラピー
介護美容は高齢者に特化した美容サービスで、笑顔と安らぎを提供します。
主に、ヘアケアやメイク、アロマテラピーが含まれ、介護施設などでも積極的に取り入れられている美容ケアです。
介護美容の効果はさまざまですが、高齢者の髪を丁寧にスタイリングすることで、その人の気持ちが明るくなることがあります。
またメイクをすることで、人と積極的にコミュニケーションが取れたり、気持ちが若返ったりする効果も期待できるでしょう。
これは、外見が整うことで自信がつき、精神的にも安定するからです。
資格としては美容師免許が基本で、資格を持つことで、介護施設や高齢者の自宅で活動できます。
美容師免許を活かすことで、高齢者の生活の質を高め、より多くの笑顔を生み出すことが可能です。
介護美容が注目されている理由
介護美容は高齢者の心地よい時間を創造するサービスで、近年注目を集めています。
サービスはまだ始まったばかりで浸透していませんが、介護美容のスキル習得に特化したスクールも増えているようです。
高齢者が外見や自己ケアに関心を持っていることは多く、そのニーズに応えるのが介護美容です。
介護美容は、外見の整備だけでなく、心理的な側面でもポジティブな影響を与えると言われています。
幸福感の持続やコミュニケーションの活性化などのメリットもあることから、今後の発展が期待されている分野です。
介護美容が提供される専用の施設は存在せず、各介護施設やご自宅を訪れて美容サービスを提供するシステムが一般的となっています。
介護美容におすすめの資格
高齢者の笑顔を引き出す介護美容のテクニック。
ヘアカットからネイルケアまで、介護美容を行う上で役立つ資格について、専門的な技術を解説します。
ヘアカット・ヘアセット
ヘアカット・ヘアセットは、介護美容の中でも注目されている分野です。
国家資格である「美容師免許」を持つと、専門的な技術で高齢者の髪のお手入れができます。
例えば、高齢者が通常の美容室へ気軽に行けなくなった場合、専門の技術を持つ介護美容師が施設や自宅に訪れ、プロレベルのヘアケアを提供することが可能です。
このサービスが、高齢者の自信や生活の質を高める大きな要因となります。
美容師免許のほかに、特化した資格も存在します。
例えば、ヘアメイクセラピストや福祉理美容師、訪問福祉理美容師といった資格です。
自分の目的に合った資格を取得することで、より多くの場で活躍できるでしょう。
メイク
メイクの資格は、介護美容において欠かせない要素です。
この資格を取得することで、高齢者専門のメイクが可能になり、その技術で高齢者の自信や笑顔を引き出すことができます。
例えば、高齢者が大切なイベントに参加する際、プロの手によるメイクはその人の精神的な満足度を大きく高めます。
民間資格であるメイクの資格は、高齢者との信頼関係を築く際に有用です。
通学あるいは通信講座で取得でき、その後は介護施設、利用者の自宅、または美容サロンでの活動が可能です。
こうした場で高度なメイク技術を提供することは、高齢者だけでなくその家族からも高い評価を受けられるでしょう。
アロマテラピー
アロマテラピーは、精油や精油の芳香、植物に由来する芳香を用いて、心身の健康やリラクゼーション、ストレスの解消などを目的とする療法です。
美容やリラクゼーションだけでなく、健康増進やスポーツ、医療、予防医学などにも活用されています。
アロマオイルを用いて、リラクゼーションやストレス軽減を促すことができ、体調への不安や悩みを緩和させることもできます。
アロマテラピーの資格を持つことで、介護施設や利用者の自宅でのサービスが広がり、信頼も深まります。
専門の介護資格が必須ではありませんが、ヘアメイクセラピストや福祉理美容師、訪問福祉理美容師といった資格も同時に取得すると、就職において非常に有利です。
ネイル・ハンドケア
ネイル・ハンドケアは、介護美容において取得したいスキルの1つです。
この資格を有すると、高齢者の手や爪の専門的なケアが可能になります。
とくに冬季には乾燥が気になるため、適切なケアは老人の心地よさと健康に直結します。
資格取得する方法もさまざまで、専門学校や美容スクール、通信講座で学習可能です。
ネイルやハンドに特化した資格を持つことで、介護施設や美容サロンでの就職がスムーズになるでしょう。
介護美容の資格が活かせる場所
介護美容師としての技術は、さまざまな場所で活躍のチャンスが広がっています。
施設から訪問、美容サロンまで、どんな場所でスキルを生かせるのか紹介します。
介護施設
高齢者が外出する機会が減少する中で、美容と心のケアの重要性が増しています。
介護施設では、美容ケアを通じて高齢者の心の健康もサポートすることも重要な役割です。
髪型やメイクはもちろん、心地よいアロマの香りでリラックスさせることもあります。
この場合、介護施設で就職するというより、美容系の事業所に就職して、施設へ訪問し技術を提供するパターンがほとんどです。
利用者の自宅へ訪問
介護美容は、高齢者の自宅で提供するシーンも多々あります。
自宅での介護美容は、利用者にとって心地よい時間を作るとともに、生活の質を向上させる重要なサービスです。
自宅は高齢者にとって安心感のある場所であり、その環境で美容ケアが受けられることは重要です。
自宅で簡単なヘアカットやメイクの調整を行い、さらにアロマテラピーでリラックスさせるサービスなども行われています。
このようなサービスによって、高齢者は心地よい時間を過ごし、それが結果として心の健康や生活の質の向上につながります。
美容サロン
美容サロンでの介護美容は、高齢者が心地よく過ごせるように全面的なサポートを提供する役割があります。
この仕事は高齢者の外見だけでなく、心のケアも手がけ、生活の質を高める貴重なサービスです。
まず、美容サロンでは専門の技術が求められます。
例えば、高齢者特有の髪質や肌質に対応したヘアカットやメイク、アロマテラピーなどがあります。
これらの技術を用いることで、利用者は心地よい時間を過ごすことができます。
介護美容の資格を取得するには?
介護美容師として活躍するためには、資格取得までのステップを知ることが大切です。
美容師の国家試験、ネイルやメイクの資格取得方法、学ぶ場所の選び方について詳しく説明します。
美容師免許の受験資格
美容のプロフェッショナルとして活躍するためには、「美容師免許」という国家資格の取得が必要不可欠です。
この免許は美容師法に基づいており、資格を持たない者が施術を行うことは許されていません。
試験に合格したあとに申請をし、美容師名簿に氏名等が登録されると、免許が交付されます。
受験するための条件は、厚生労働省指定の理容師・美容師養成施設で、昼間課程2年、夜間課程2年、または通信課程3年以上のカリキュラムを修了することです。
さらに、これらの課程修了後、1年以上の実地習練を経た人も受験可能です。
ただし、この実地習練が受験資格の条件となるのは、平成10年3月31日以前に養成施設への入学が条件となります。
ネイルやメイクは民間資格
ネイルやメイクの資格は美容師免許と異なり、民間資格です。
介護美容の分野で働くために資格は絶対必要ではありませんが、資格を保有することで、自分の専門性や信頼性をアピールできます。
とくに、高齢者を対象とした介護美容の現場では、その技術や知識が非常に価値あるものとして評価されます。
高齢者の手や爪のケア、顔のメイクなどを行う際、ネイルやメイクの資格があると、適切なケアができるという信頼を得られるでしょう。
そして、介護施設や高齢者の自宅、さらには美容サロンでのサービス提供の機会も増える可能性があります。
通学や通信講座で学ぶ
介護美容の技術や知識を学ぶために、通学や通信講座はおすすめです。
具体的には、通学を選択することで実際の施設やクラスでの実技や実践を体験することができ、直接的なフィードバックや指導を受けられます。
一方、通信講座を利用すれば、自分のペースで学ぶことが可能です。
とくに忙しい方や地方在住の方には、非常に便利な選択肢といえるでしょう。
これらの学習方法を利用すれば、介護美容の資格取得が容易になります。
他にも役立つ資格が多くあり「介護資格の種類はどのくらいあるの?スキルアップに取るべき資格を徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
介護美容師として働くには介護資格も必要?
介護美容師の仕事において、介護資格の必要性はどれくらいあるのでしょうか?
実際の現場で求められるスキルや知識、資格がもたらすメリットについて見ていきましょう。
介護資格は必須ではない
介護美容の分野では、必ずしも介護資格が必須ではありません。
美容に関連する作業、例えばヘアカットやヘアセット、メイクといった技術が主な業務となるため、介護資格は不要です。
介護は、高齢者や障害を持つ人々の日常生活のサポートを目的として行われ、身の回りの世話やリハビリテーション、心のケアなどが含まれます。
一方、美容は、外見をキレイに見せるための技術やサービスが中心です。
しかし介護美容では、これら二つの分野が融合し、高齢者の心と体の両方をケアするサービスが増えています。
介護美容師として働く上で介護資格は必須ではありませんが、介護の基礎知識を持つことは大きな強みとなるでしょう。
介護の知識や技術があれば就職に有利
訪問美容師や介護美容師は、美容の技術だけでなく、介護のスキルも必要です。
従って、介護経験がある人は、その経験を介助やコミュニケーションスキルに生かすことができます。
例えば、利用者の自宅を訪れる際にはケアマネージャーと協力が必要であり、介護施設や病院への訪問時には介護に関連する専門用語を理解する必要があります。
訪問美容師や介護美容師としての職務においては、介護関連の資格が必須ではないものの、介護経験があると仕事に生かすことができるでしょう。
高齢者との関わり合いは、技術だけでなく、コミュニケーションの技巧も要求される仕事です。
この点で、介護資格を取得することは大きな可能性があり、高齢者の生活の質の向上に貢献できる機会が増えます。
介護美容師と活躍するために取得したい介護資格
介護美容のプロとして、一歩先を行くための介護資格。
ヘアメイクセラピストから介護福祉士まで、さらに専門性を高める資格をご紹介します。
ヘアメイクセラピスト
ヘアメイクセラピストは、「一般財団法人日本訪問美容推進協会 (JVPA) 」が提供する、介護美容の中で特別な位置を持つ専門家です。
この認定ライセンスは、理美容師としての基本的な技術や知識に加え、高齢者や身体の不自由な方とのコミュニケーションや介助方法を学べる内容が組み込まれています。
ただの美容師とは異なり、訪問美容の基礎知識、介護の現場での実際や社会福祉制度、さらには医学的知識まで幅広く学ぶことです。
化粧品の質感や素材を最大限に活用して、利用者が「なりたい自分」の姿を手に入れられるようなメイクを提供し、高齢者や身体の不自由な方の笑顔を引き出す大きな力となります。
福祉理美容師とは
福祉理美容師は、「NPO法人日本理美容福祉協会」により発行される民間資格です。
適切な美容施術を提供するプロとして、高齢者や身体の不自由な方への正しい介助知識や技能を学ぶことができます。
高齢者の髪のお手入れやメイク、アロマテラピーなどを適切に行う技術を習得することが可能です。
高齢者や身体的な制約を持つ人々も、外見や身なりに対する関心や欲求がありますが、自己ケアは容易ではありません。
そんな方にとって、福祉理美容師の役割は非常に重要です。
専門的な技術を駆使してケアを行うことで、高齢者に安心感や心地よい時間を提供することができます。
訪問福祉理美容師
訪問福祉理美容師は、外出が困難な高齢者や身体的障害を持つ方々に向けた美容サービスの専門家です。
この資格を持つ理容師・美容師は、施設や自宅において美容ケアを提供することができます。
ヘアカットからアロマテラピーまで、多岐にわたる技術で心のケアも同時に行います。
資格取得のための学びは、通学や通信講座で可能です。
介護の知識も習得することで、より深いケアにも対応できる、社会に欠かせない存在となれるでしょう。
初任者研修
初任者研修は、介護美容師としての第一歩とも言える大切な資格研修です。
この研修を通じて、介護の基礎知識や技術、そして高齢者の心のケアやコミュニケーションの方法を学べます。
初任者研修を受けることで、介護美容師として介護施設や利用者の自宅、そして美容サロンでの活躍の場が格段に広がります。
実際、訪問介護のヘルパーとしての職務も可能となり、多方面でのキャリア展開が可能です。
130時間というカリキュラムをしっかり修了すれば、さまざまな場面での活躍が手に入ります。
初任者研修は介護のスタート資格とも言われており、これから介護美容の分野で活躍したい方に強くおすすめしたい資格の1つです。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、初任者研修の上位資格です。
実務者研修は、介護の専門的な知識と技術を習得し、高齢者に質の高い介護サービスを提供できます。
この研修を修了すると、高齢者の生活支援やケアを行うスキルや知識が身につくため、訪問美容にも欠かせない資格です。
約450時間のカリキュラムがあり、実際の現場での実習も経験することができます。
無資格からでも受講は可能ですが、初任者研修レベルの知識がないと、研修の内容を理解するのが難しいこともあるでしょう。
しかし実務者研修を受けることで、介護職のスキルアップやキャリアアップが期待できます。
初任者研修についてもっと知りたい方は 「初任者研修のカリキュラムは?通信と通学の違いを徹底解説」を参考にしてみてください!
介護美容の資格を取得して仕事に活かそう!
高齢化が進む中で、介護美容師の需要は年々高まっています。
高齢者向けの美容サービスやケアの専門家として働いたり、利用者の自宅を訪問してケアを提供したりするには、美容や介護に関する資格を持っておくことが大切です。
介護美容に特化した資格があれば、介護施設や美容サロンで活躍することができます。
また今後の高齢化社会を考えると、介護に特化した美容スキルで「開業」や「独立」も夢ではありません。
介護美容の資格を持つことは、あなたのキャリアの幅を大きく広げることを可能にします。
美容師資格はもちろんのこと、メイクやアロマテラピーの技術を習得することで、高齢者の全体的なケアに対応することができます。
高齢者や病気や障がいを持っている方に、安らぎや前向きな気持ちを与えられるのが「介護美容」の仕事です。
あなたも介護美容デビューを目指してみませんか?