初任者研修は費用免除される?給付される金額や手続きについても解説! 更新時間 2023.11.10
介護職員初任者研修とは、介護の基礎から応用までを学ぶことができる「介護職のスタート資格」です。
一般的な受講料は6〜10万円ほどかかりますが、受講費用が免除になる制度がいくつも用意されています。
この記事では「初任者研修の受講料を免除する方法」について、各制度の給付額や対象者をまとめました。
国や地方自治体が運営する5つの制度を解説しますので、初任者研修の受講を検討されている方はぜひチェックしてください!
費用免除の制度を賢く使って、資格取得にかかるお金を安く抑えましょう。
初任者研修は費用免除される制度が豊富
初任者研修の費用が免除される制度は、実は1つではありません。
以下の通り、さまざまな制度が運営されており、支給額や対象者は制度によって異なります。
①ハロートレーニング
②特定一般教育訓練給付金
③自立支援教育訓練給付金
④介護職就職支援金貸付事業
⑤再就職準備金貸付事業
では、各制度の概要について、詳しく解説していきましょう。
他にも役立つ資格が多くあり「介護資格の種類はどのくらいあるの?スキルアップに取るべき資格を徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
ハロートレーニングとは?
ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)は、職業訓練を無料で受講できる制度で、仕事を探している方を対象にしたサポートプログラムです。
ハロートレーニングの対象者は?
ハロートレーニングの対象者は、「働こうとする人」「働く人」全般で、就職を目指す方、失業中の方、経験が足りない方、学卒者、スキルアップを図りたい在職者などが含まれます。
介護資格をはじめとし、それぞれのニーズに合わせてさまざまなコースが提供されています。
ハロートレーニングを利用するための手続き
ハロートレーニングを受講するためには、まず対象者であることが条件です。
具体的な手続きは、ハローワークに登録し、相談を受けた上で担当者と相談しながら受講希望のプログラムを選びます。
国が提供する支援なので、原則として受講料は無料です。
ハロートレーニングは、やりたい仕事に対するスキルや知識を身につけ、キャリアアップや就職を実現する一環として、年間約26万人の方に利用されています。
通学のための交通費や受講手当がもらえる?
ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)は、基本的には受講者が受講料以外の実費(テキスト代、交通費、昼食代など)を自己負担する仕組みです。
介護職員初任者研修の場合、テキスト代はおおよそ5,500円程度とされています。
雇用保険が受給できない方でも、以下の条件を満たしていれば、受講中に月額10万円の給付金を受けとることができます。
支給条件は以下の通りです。
- 本人の収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下であること
- 世帯全体の金融資産が300万円以下で、現金・預貯金・株券などが含まれます
- 現在住んでいる場所以外に土地や建物を所有していないこと
- 訓練実施日すべてに出席し、やむを得ない理由で欠席する場合は証明できる場合であっても8割以上の出席が必要
- 世帯の中に、同時に給付金をもらいながら訓練を受講している人がいないこと
- 過去3年以内に、偽りや不正行為により特定の給付金を受給していないこと
- 過去6年以内に職業訓練受講給付金の支給を受けていないこと
これらの条件を満たす方は、通学に関わる交通費や受講手当を受けることができます。
特定一般教育訓練給付金とは?
「特定一般教育訓練給付金」は、国が実施する教育訓練給付金制度の1つで、キャリアアップや再就職の支援を目的とした制度です。
支援の観点から、オンライン講座や夜間、土日の講座も充実しており、働きながら学びやすい環境が整っています。特定一般教育訓練で給付される金額
特定一般教育訓練給付金は、教育訓練経費の40%(上限20万円)が給付される仕組みです。
ただし、給付額が4千円以下の場合は支給されないので注意しましょう。
対象となる経費は入学金と受講料のみで、資格試験の受験費や通学のための交通費、補助教材費などには支給されません。
また、割引制度を利用した場合は、割引後の料金が適用されます。
特定一般教育訓練給付金の対象者は?
この給付金を受けるための対象者は、在職者または1年以内の離職者であり、雇用保険に原則として3年以上加入していることが条件です(初回の場合は1年以上)。
さらに、過去3年以内に同給付を受けていないこと、そして特定一般教育訓練を修了した方が対象となります。
特定一般教育訓練給付金を受け取るための手続き
まず、特定一般教育訓練の受講を申し込む前に、住居所を管轄するハローワークに行き、訓練前キャリアコンサルティング、ジョブ・カード作成、受給資格確認の手続きを行います。
これらの手続きは必須であり、特に「受給資格確認通知書」がなければ、給付金の受給は不可能です。
また、受講を前提とした「訓練前キャリアコンサルティング」も必須となります。
この際、予め作成したジョブ・カードに基づいて、受講予定の特定一般教育訓練についてのコンサルティングが行われます。
自立支援教育訓練給付金とは?
自立支援教育訓練給付金は、母子家庭や父子家庭のひとり親を支援するための制度です。
この制度は、就業を目指した主体的な能力開発を応援し、対象となる教育訓練を受講した場合、一部の費用が支給されます。
自立支援教育訓練で給付される金額
給付金は、受講修了後に支給される仕組みです。
そのため、受講開始時にはまず、ご自身で費用を用意しなくてなりません。
実施主体は市や都道府県などの自治体であり、地域によってはこの制度が提供されていない場合があるため、ご注意ください。
給付額は受講費用の60%で、年間の上限は20万円であり、最大で80万円まで支給されます。
ただし、給付額が12,000円以下の場合は支給されませんので注意しましょう。
自立支援教育訓練給付金の対象者は?
自立支援教育訓練給付金を受ける要件は、以下の通りです。
- 20歳未満の児童を扶養しているひとり親家庭の母または父児
- 童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること
- 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められること
自立支援教育訓練給付金を受け取るための手続き
自立支援教育訓練給付金を受給する際の手続きは、以下の通りです。
- 事前相談・手続き:
ハローワークや都道府県などの窓口で、自身が給付金の対象かどうか確認しましょう。手続きには審査が必要で、約2週間~1ヶ月ほどかかる場合があります。 - 受講スクールへの申請:
受講するスクールに申請し、自治体から指定された講座を確認します。申し込みは審査通過後に行い、講座の受講修了後30日以内に給付金の支給申請をします。 - 給付金の支給:
必要書類を提出すると、給付金が指定口座に振り込まれます。
介護職就職支援金貸付事業とは?
「介護職就職支援金貸付事業」は、2021年4月からスタートしたばかりの新しい制度です。
他業種から介護職へ転職を検討している方を対象に、支援金が給付されます。
介護職就職支援金で給付される金額
支援金の上限は最大20万円です。
無利子で借りられるため、介護職未経験者が資格取得を目指すための経済的なサポートが受けられます。
介護福祉分野に継続して2年以上勤務すれば、返済が全額免除になります。
介護職就職支援金貸付事業の対象者は?
未経験者で、雇用保険受給資格者が対象であり、離職者であれば雇用保険を受けながら無料で職業訓練を受講できます。
介護職就職支援金を受け取るための手続き
介護職就職支援金を受け取るための手続きは、以下の通りです。
- ハローワークで介護資格取得支援の相談、職業訓練の申し込みを行う。
- 職業訓練機関で一定の研修を修了し、証明書を取得する。
- 福祉人材センターで支援金の申込手続きを行う。
- 手続き完了後、支援金が指定口座に振り込まれる。
地域ごとにハローワークや福祉人材センターが担当しているため、居住地の管轄を確認して手続きを進めましょう。
介護職の資格についてもっと幅広く知りたいという方は 「介護職のおすすめ資格は?種類や受講費用、期間などをご紹介」もチェックしてみてくださいね。
再就職準備金貸付事業とは?
「再就職準備金貸付事業」は、離職者を支援するための制度です。
特に介護職の経験や知識を持つ方が、再び介護職に従事する際の経済的なサポートを提供します。
再就職準備金貸付事業で給付される金額
介護再就職準備金の貸付額は、最大40万円です。
支給される金額は、介護職として2年間勤務することで全額返済免除となります。
具体的な金額は制度により異なりますので、担当窓口で確認が必要です。
再就職準備金貸付事業の対象者は?
雇用期間365日以上かつ介護業務に180日以上従事した経験があり、介護資格を有している方が対象です。
ただし、特定の職種や業務形態に制限があるため、条件をよく確認してください。
再就職準備金を受け取るための手続き
再就職準備金を受け取るための手続きは以下の通りです。
- ハローワークで介護資格取得支援の相談、職業訓練の申し込みを行う。
- 職業訓練機関で一定の研修を修了し、証明書を取得する。
- 福祉人材センターにて、支援金の申込手続きを行う。
- 手続き完了後、支援金が指定口座に振り込まれる。
手続きにあたっては、居住地のハローワークや福祉人材センターの案内に従い、条件や必要書類を確認してください。
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初任者研修の資格取得に必要な費用と期間
介護初任者研修の資格取得は、介護業界での活躍への第一歩です。
しかし、受講料相場や資格の取得までの期間はどれくらいなのでしょうか。
本章では、これらの重要な情報について詳しく解説します。
受講料の相場
介護初任者研修(ヘルパー2級)の受講料は、研修センターや地域によって異なりますが、一般的には約3万円〜10万円程度が相場です。
また、受講する人の状況に応じて、受講料が免除される場合や一部補助が受けられる場合もあるため、各研修センターの制度を確認するといいでしょう。
研修期間中には実習だったり模擬講義を通じて、実践力を身に付けることができます。
初期費用はかかりますが、これは将来の自分のための投資です。
介護の現場での信頼とキャリアの向上に直結するため、多くの人々にとって価値のあるものと言えます。
資格取得までの期間と勉強の進め方
介護初任者研修(ヘルパー2級)の受講期間は、約3ヶ月〜6ヶ月が一般的です。
研修センターによっては1年間のプログラムも存在するため、自分でゴールを設定して講座を選ぶといいでしょう。
研修の進め方は多岐にわたり、オンライン講座や通信講座、集中講座、実地訓練などがあります。
自分に合った学び方を選ぶことが重要で、計画的に勉強を進めることが必須です。
研修センターが提供するオンラインやグループディスカッションに参加することで、より深い学びを得られます。
独学で学ぶ場合も最新の情報を含む教材や、実際の介護現場で活かせる知識を学べる教材を選択することが大切です。
自分のライフスタイルや学びたい内容に合わせて研修を選ぶことで、効率的に資格取得が可能となります。
初任者研修の内容は?
初任者研修の内容は厚生労働省の指針に基づいており、130時間の講義と実技演習で構成されています。
130時間にもおよぶ学習内容は、下記の10項目です。
研修科目 | 受講時間 |
---|---|
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療の連携 | 9時間 |
護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
振り返り | 4時間 |
初任者研修は働きながらでも取得できる?
介護職への就職や転職を考えている方々にとって、初任者研修の資格は重要なステップです。
しかし、多くの人が疑問に思うのは、「働きながら初任者研修の資格は取得できるのか?」ということでしょう。
実際のところ、初任者研修を通学や通信を活用しながら取得することは可能です。
では、詳しい内容についてご紹介します。
初任者研修には通学が必須条件
初任者研修の資格を取得するためには、必ず通学しないといけません。
つまり、通信講座だけで資格は取得できません。
この研修は実務経験に合格するために受けるもので、介護技術の知識や、知識の基礎を習得するために必要な研修です。
通学のメリットは、専門の講師から直接指導を受けられることや、実習施設での実践経験が豊富に得られることです。
通学コースは週末や夜間にも開講しており、介護スクールではたくさんの受講生が働きながらでも受講できるような体制が整っています。
初任者研修と仕事の両立が可能な理由
初任者研修を仕事と両立させることは実現可能です。
その理由について、詳しく解説していきます。
2〜3ヶ月で取得可能
初任者研修は比較的短期間で修了できるため、仕事と両立しやすいのが特徴です。
厚生労働省によれば、介護職員初任者研修の所定の研修時間は130時間と規定しています。
1週間あたりの学習時間を平均13時間と設定すれば、約2か月で資格を取得することが出来ます。
上位資格である「実務者研修」は、およそ450時間の研修が必要です。
初任者研修は、実務者研修の半分以下の時間で取得が可能なため、介護職のお仕事を始めるためのスタート資格として適しています。
通信と通学の併用が可能
初任者研修の資格は通学が必要とお伝えしましたが、通信と通学を併用して学習することが可能です。
働きながら通学するのは難しいですが、通信講座を取り入れることで、資格取得までの負担を減らすことが出来ます。
通信教育では自宅で学習し、通学コースでは実技を習得するといった形で両方を組み合わせることで、効率よく学習しながら資格取得を目指しましょう。
初任者研修の費用免除を受けるときの注意点
ここでは、初任者研修の費用免除を受ける際に注意すべきポイントについて解説します。
受講資格の確認
まず最初に、初任者研修の費用免除制度を利用するためには、受講資格の確認が必要です。
制度によって異なる条件があるため、受講する前に詳細な要件を確認しましょう。
一般的な条件として、雇用保険に加入していることや特定の職業に従事していることが挙げられます。
申請手続きの綿密な準備
費用免除を受けるためには、申請手続きが必要です。
不明点は事前に確認し、必要な書類を揃え手続きを進めましょう。
手続きに不備があると支給が遅れたり、免除対象外となる可能性があるため、早めの対応が大切です。
制度ごとの違いを理解
異なる制度が存在する場合、それぞれの特徴や違いを理解することが大切です。
支給額や手続きの流れ、受講できる研修内容に違いがあるかもしれません。
比較検討して、自身に最適な制度を選択しましょう。
不明な点は、ハローワークや自治体の担当者に直接問い合わせください。
早めの申請がポイント
免除を受けるためには、早めの申請が重要です。
制度によっては申請受付期間が限られていたり、定員に達した際に締め切られることがあります。
申請が遅れないように、研修受講の予定が決まったら迅速に手続きを進めましょう。
初任者研修の費用免除で介護職のキャリアを築こう!
初任者研修は介護職において重要なキャリアの一環であり、その費用を免除する制度は豊富にあります。
受講資格の確認や申請手続き、制度ごとの違いを理解することが、受講費を抑えるための重要な鍵です。
また、初任者研修の免除制度を利用する際には、早めの申請がポイントなります。
自らのキャリアアップを図り、介護職のプロフェッショナルとしてのステップアップを目指しましょう。
制度の活用により、未経験からでも介護職に挑戦するハードルが下がり、安心してスキルの向上に取り組むことができます。
介護職の道はやりがいあるものであり、初任者研修の費用免除を活かして、自身のスキルを高め、新しいキャリアのステージへ進むことができるでしょう。
将来に向けてのキャリアプランを描きながら、制度を上手に利用して理想の介護職キャリアを築いてください。