なぜ通信制高校は学費が安いの?学費が安い理由を徹底解説! 更新時間 2022.12.09
進学先を決めるとき、「志望校の学費は安いのか高いのか」は非常に気になるポイントだと思います。
さらに通信制高校の場合、同じ学校に通っていても、「自分が選択する学習スタイル」によって学費が大きく変わってくるので注意が必要です。
本記事では、通信制高校にかかる費用を分かりやすく解説しながら、学費を安くする方法を徹底解説しています。
「学費を重視して学校を選んでいいのか?」
「私立の学費は高いのか?」
などなど、あなたの疑問を一気に解決していきましょう。
通信制高校の学費は公立と私立でまったく違う!
通信制高校の学費を考えたとき、公立と私立では「年間20万ほど公立が安くなる」ことを覚えおく必要があります。
さらに「登校回数」や「選択コース」などで、それ以上の差が生じることも十分に考えられます。
まずは、公立の学費が安い理由と、私立の学費が高くなる理由についてご紹介していきます。
公立の通信制高校の学費は年間3〜5万円の安さ
公立の通信制高校では、各都道府県によって授業料が決められています。
地域によって学費は若干異なりますが、初年度の学費は年間3万円ほどという安さです。
学費のほかに、教科書代やイベント参加費などが2万円ほど追加されても、3年間で12〜15万円くらいで卒業できるのはメリットといえるでしょう。
私立の通信制高校の年間学費は24万円以上なので、公立の10倍以上の学費がかかることになります。
学費が安い公立よりも学費が高い私立が人気のワケ
公立の学費の安さはずば抜けていますが、実は近年人気なのは、学費が高い私立の方です。
私立の通信制高校が人気の理由は、以下のようなメリットがあるからです。
- ・登校回数が自由に選べる学校が多い
- ・オンライン授業やネットイベントが充実している
- ・先生の数が多くサポートが手厚い
- ・カウンセラーなどの専門家が在籍している
- ・入学や編入できる時期が柔軟である
- ・進学や専門課程でプロや専門家から指導を受けられる
- ・卒業率が高い
ここで注目しておきたいのは、公立と私立の「卒業率」の違いです。
公立通信制高校の卒業率は94.4%、私立は97.0%と大きな違いはないように見えますが、公立は3年以上在籍している生徒が多いことが考えられます。
年間数万円で在籍し続けられるがゆえに、卒業までに何年もかかってしまうケースはめずらしくありません。
また何年たっても卒業できず、結果的に中退してしまう生徒が多いのも、公立を選ぶデメリットといえるでしょう。
確実に卒業したいなら学費が安い私立の通信制高校がベスト
公立の卒業率が低いのは、卒業のためのサポートが私立よりも手薄だからです。
通信制高校は「自主学習」がメインになるので、自己管理を徹底して学習を進めないと卒業はむずかしくなります。
私立では、個人に合わせた学習計画やサポートが手厚く、また進路指導や大学進学のフォローも徹底しているのが特徴です。
「確実に卒業したい!」と考えるのであれば、学費だけで公立を選ぶのではなく、「学費が安い私立の通信制高校」を選ぶのがベストな選択とも言えます。
通信制高校の私立と公立の違いについて詳しく知りたい方は是非 「通信制高校の私立と公立は何が違うの?学費・授業など徹底比較」を参考にしてみてください!
通信制高校の学費を安くする5つのポイント
次に、通信制高校の学費を抑える方法について解説していきます。
5つのポイントを抑えることで、私立であっても安い学費で進学できる可能性が生まれるでしょう。
通信コースを選択して登校回数を減らす
私立の通信制高校は、自分の希望にあった登校スタイルが実現できることが魅力です。
「友だちを作りながらマイペースに勉強したい」という人は週1〜2回コースを、「全日制高校のような学校生活を味わいたい」という場合は週3〜5日のスクーリングをという風に、登校回数を選ぶことができます。
しかし週1〜3日の登校なら年間の平均学費は45〜65万円ほど、週5日の場合は年間70〜90万円ほどがかかり、大きな出費になることは間違いありません。
「出来るだけ学費を抑えたい!」という場合は、登校回数が少なく自宅学習メインの学習スタイルがおすすめです。
通信コースやネットコースを選択すれば年間学費は20万円台で、後ほど解説する「就学支援金」を活用すると私立でも授業料が実質無料になるケースもあります。
単位ごとの費用をチェックする
通信制高校の授業料は、1単位の費用で計算されます。
公立通信制高校は1単位あたり400円ほどなので、年間25単位でも1万円ほどと格安です。
しかし私立になると1単位あたり8,000円前後になり、年間で20万円ほどの学費がかかります。
私立の通信制を目指す方は、1単位あたりの授業料に注目して、1,000円でも安い学校を選ぶようにしましょう。
1単位1,000円安いだけで、3年間で74,000円も学費を削ることができます。
授業料以外の学費も把握しておく
通信制高校では、授業料以外に以下のような費用が発生します。
- ①入学金
- ②施設維持費
- ③教材費
- ④イベントや特別活動費
- ⑤専門コースの授業料
- ⑥サポート校の学費
とくに⑤や⑥は年間何十万円にも及ぶため、授業料と合算した金額を把握しておく必要があります。
また通信制高校と立場の違うサポート校は、就学支援金が利用できません。
近年は私立の通信制高校に通いながら、同時にサポート校に通う生徒も増えています。
サポート校を利用すれば卒業に関する手厚いサポートが受けられますが、倍以上の学費がかかることを踏まえて利用するかを考えましょう。
就学支援金制度を活用する
令和2年4月から、私立の通信制高校でも「就学支援金制度」が利用できるようになりました。
この制度によって負担する学費が大幅に減少し、経済的な理由で進学を諦めていた生徒が高校へ進めるようになりました。
卒業しても返済が不要な就学支援金制度は、世帯年収が910万円未満の方が対象になります。
世帯年収ごとの就学支援金の支給額は、以下の通りです。
世帯年収 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
590万円未満 | 336円/単位(授業料は実質無償化) | 最大12,030円/単位(授業料は実質無償化) |
590万円~910万円未満 | 336円/単位(授業料は実質無償化) | 4,812円/単位(負担分は自己負担) |
私立の通信制高校では29万7,000円が支給上限額となっており、世帯年収が590万円未満であれば実質無償になります。
都道府県独自の学費補助制度を受ける
就学支援金により家庭の学費負担は大きく軽減されましたが、年収590万円以上の家庭に対する負担は少ないとは言えません。
そこで知っておきたいのが、「都道府県独自の学費支援制度」です。
各都道府県では、国の所得制限を超えても補助金がもらえるケースがあります。
例えば東京都では、都内に在住し、東京都以外の自治体が認可している私立通信制高校に在学する生徒の保護者に対し、授業料の一部を助成することになりました。
年収590万円〜910万円の世帯に対し、国の支援金と合わせて25万8,000円まで助成してくれます。
さらに令和4年からは世帯年収が910万円以上であっても、扶養する23歳未満の子どもが3人以上いれば、5万9,400円まで助成を受けられることになりました。
ご自身がお住まいの場所にはどのような助成金や補助金があるか、自治体や学校に問い合わせてみましょう。
通信制高校の学費や無償化について詳しく知りたい方は是非 「通信制高校の学費の平均はいくら?学費が安い学校や無償化制度について解説!」を参考にしてみてください!
学費の安さで選ぶのは危険!通信制高校選びを失敗しないポイント
通信制高校を選ぶポイントは、「学費」や「設備」などの目に見えるものだけで判断すると危険です。
ここでは、安さで選ぶことがどう危険なのか、高校選びのポイントは何を基準にするべきかを解説していきます。
登校しやすい学校かチェックする
まず大事なポイントが、通いやすい場所に学校や学習センターがあるかです。
通信コースやWebコースを選べば少ないスクーリングで済みますが、それでも年に数回は通わなくてはいけません。
片道1時間以上かかる距離や、電車の本数が少ない場所にあると、移動に時間がかかりスクーリングをサボってしまう可能性もあります。
通信制高校に通う目的は「卒業すること」ですので、通いやすい学校を選ぶようにしましょう。
状況や体調に応じて登校回数を選ぶ
通信制高校によっては、「月2回のスクーリングが必須」「年に1回の合宿タイプ』などが定められています。
どんな高校生活を送りたいか、どのくらい通えそうかを考え、自分のスタイルに合う学校を選択しましょう。
行きたい通信制高校の卒業率や進学率を調べる
どんなに設備が整った学校でも、学費が安い学校でも、卒業できなくては意味がありません。
「卒業するためのサポートがどのくらい手厚いか」「進学率はどのくらいか」「自分の行きたい大学の進学実績はあるのか」などを確認して、複数の学校を比較して決めるのがおすすめです。
学費が安いだけで選ぶと卒業までに何年もかかり、予定よりも高い学費を払う結果になってしまうこともあるでしょう。
ご自身が考える範囲内の学費で、卒業率や進学率の高い学校を選ぶと失敗を防げます。
通信制高校のおすすめランキングについて詳しく知りたい方は是非 「通信制高校おすすめランキング!失敗しない通信制高校選び」を参考にしてみてください!
通信制高校の学費を抑えるなら3年で卒業を目指そう!
学費の安さだけでみると公立が圧倒的ですが、さまざまな支援金や助成金によって、私立でも学費の負担が大幅に軽減されることが分かりました。
国や自治体の支援金や補助金も、年々充実してきています。
高校を学費で選ぶことはもちろん大切ですが、どんな高校生活を送れるか、確実に卒業できるかを考えながら選びましょう。
私立の通信制高校は学校ごとにサポートが充実しており、さまざまな支援を受けながら学習することが可能です。
気になる学校のオープンキャンパスや相談会に参加して、後悔のない進路を選択しましょう。