通信制高校にも留年ってあるの? 入学から卒業までの流れを解説! 更新時間 2023.09.16
通信制高校といえば、「毎日登校する必要がない」「自由な時間が多い」「不登校でも卒業しやすい」などのメリットがありますが、さらに「留年がない」こともあげられます。
留年がないなら誰でも3年で卒業できるのかというと、実はそうではありません。
今回は、通信制高校に留年がない理由や、入学して卒業するまでの流れを分かりやすく解説していきます。
通信制高校の特徴や仕組みを知ることで、自分が進むべき道が見えてくるでしょう。
通信制高校に留年がない理由
通信制高校に留年がない理由として、「学年の概念がない」ということが言えます。
高校で留年してしまう場合は、以下のどちらかの条件に触れたときです。
- 出席の基準に満たしていない科目がある
- 成績の基準に満たしていない科目がある
いずれかに当てはまってしまうと、次の学年に進級できません。
しかし通信制高校には学年の概念がないため、留年することはないのです。
通信制高校は「単位制」を採用しているから
留年がある全日制・定時制高校と、留年がない通信制高校は、採用している仕組みが違います。
全日制や定時制高校が採用している「学年制」では、1学年ごとに必要な単位が決まっており、学年の終わりにすべて修得していなければ進級できません。
1科目足りないだけで留年になり、それまで取得した単位を再び取得しなくてはならないのが学年制です。
一方で、通信制高校は「単位制」を採用しており、「1学年ごとに必要な単位数が決まっていない」のが特徴です。
1年間で取得する単位を自分自身で決められるので、自分のペースに合わせた学習ができます。
年間に習得する単位を自分で決められるから
単位制でも学年制でも、高校卒業に必要な単位数は74単位以上と決まっています。
しかし通信制高校では、1年間に修得する単位数は決められておらず、自分自身で自由に決めることができます。
「3年目は受験に専念したいから、2年間ですべての単位を取りたい」
「働きながらだと3年はむずかしいから4年かけて卒業しよう」
など、生徒の考え方やライフスタイルによって決められるのが、通信制高校で学ぶ1番のメリットだといえます。
通信制高校の入学試験は誰でも合格できる?
通信制高校に留年がない理由が分かったところで、次は入学試験について解説していきたいと思います。
通信制高校の受験について知識がない方は、「どんな基準で合否が判断されるのか?」「通信制高校にも偏差値はあるのか?」などが気になるところでしょう。
実は通信制高校は偏差値で合否を判断することはなく、基本的に誰でも合格しやすい仕組みになっています。
通信制高校に偏差値がない
通信制高校には偏差値がないため、学力レベルで学校を選ぶ人はいません。
それよりも、「この学校ではどんな経験ができるのか?」
「卒業までにどんな資格が取得できるのか?」
「どのくらいのスクーリングで卒業できるのか?」
などが進学先を決める判断材料になります。
通信制高校はさまざまな生徒を受け入れる学校である
通信制高校には色んな生徒が集まります。
年齢も職業もさまざまで、40代や50代の生徒もめずらしくありません。
そもそも通信制高校の運営が始まったきっかけが、「全日制や定時制に通えない人に対して高等学校の教育を受けさせたい」というのが目的でした。
そのため、学力が足りないから不合格にするようなことはないのです。
入学試験においても、「落とす試験」ではなく「さまざまな生徒を受け入れるための試験」を実施しており、学力や事情に関係なく入学を受け付けています。
中学レベルの学力があれば無試験で入学できる
通信制高校では、中学校またはこれに準ずる学校を卒業した人か、それと同等以上の学力さえあれば試験を受けずに入学できる学校がたくさんあります。
入試では「学力テスト」のようなものはなく、面接や書類審査を行っているのが一般的です。
難関大学を目指すような一部の通信制高校のみ、学力テストを実施しているようですが、それも学力レベルを判断するために過ぎません。
ほとんどの通信制高校が、中学卒業程度の学力があれば不合格になることはほぼないでしょう。
通信制高校の受験内容と対策ついて詳しく知りたい方は是非 「通信制高校に行くためには?受験内容とおすすめ対策をご紹介!」を参考にしてみてください!
通信制高校を卒業するための3つの条件
ほとんどの方が合格する通信制高校ですが、卒業するのは簡単ではありません。
通信制高校で定められている卒業条件は、以下の3つです。
- 3年間で74単位以上を修得する
- 30単位時間以上の特別活動
- 3年以上の在籍
74単位を修得するためには、年に1〜2回実施されている「単位認定試験」に合格する必要があります。
その試験を受けるための資格が、自宅で行う「レポート提出」と、対面で授業を受ける「スクーリング」です。
卒業が容易ではない理由がレポートとスクーリングで、自己管理ができていないと何年経っても卒業できない可能性があります。
通信制高校は本人の頑張りが大きく影響する学校なので、「いつまでに卒業する!」と目標を立ててコツコツ勉強することが大切です。
通信制高校のスクーリングについて詳しく知りたい方は是非 「卒業するためには絶対必要?通信制高校のスクーリングとは!」を参考にしてみてください!
通信制高校の入学から卒業までの流れ
最後に、通信制高校への入学を決めるところから卒業するまで、一連の流れを解説していきたいと思います。
1.入学したい通信制高校を見つける
通信制高校の中でも、私立の学校は年々増加しています。
気になった学校があれば、資料を取り寄せたりインターネットで調べたりして、情報を集めましょう。
個人や卒業生のブログなどはある程度参考にしながらも、すべてを鵜呑みにしないことも大切です。
説明会やオープンキャンパスを実施している学校も多いので、少し遠くても積極的に参加するようにしましょう。
もし自分に合った学校に入学してしまうと、卒業までに時間がかかったり、卒業を諦めて中退してしまうリスクもありますよ。
3.願書を提出して入試を受ける
前述した通り、通信制高校の入試は学力テストを実施しないところも多いです。
基本的に面接と書類審査のみとなっており、面接では「なぜこの学校を選んだの?」「この学校に入ったら何がやりたいですか?」といった質問をされます。
そのときの回答で不合格になることはほとんどありませんが、自分の意思や目標をきちんと伝えられるようにしておきましょう。
2.入学式
通信制高校の入学式は、4月と10月に行われるのが一般的です。
服装はスーツなどが多いのですが、制服がある学校では制服で出席する生徒もいます。
学校法人角川ドワンゴ学園「N高等学校」は、2019年に本格的VRシステムを完備した映画館にて「バーチャル入学式」を開催しました。
高性能VRヘッドセットと映画館サウンドによる高い没入感で、生徒からは「面白かった」「驚いた」という声が上がったそうです。
このような全日制・定時制高校にはないユニークな入学式が楽しめるのも、通信制高校の魅力といえるでしょう。
3.レポート・スクーリング・テストを繰り返し単位を習得する
入学式を終えると本格的な授業がスタートしますが、通信制高校のほとんどの生徒は自宅で学習を進めることになります。
新しい環境で気持ちが落ち着かなくても、安心できる場所で勉強できるのが通信制高校の良いところです。
レポートやスクーリングをこなして単位認定試験に合格できるよう、自己管理をしながら学習に励みます。
単位認定試験に落ちても留年がない
試験に合格できない場合、「留年してしまうのでは?」と考える人もいると思います。
しかし通信制高校には留年がないので、落とした単位だけをやり直せば大丈夫です。
全日制高校のように、すべての科目をやり直すことはないので、「自分だけ取り残される・・・」と不安になる必要もないでしょう。
年間行事やイベントに参加する
通信制高校にも体育祭や文化祭、修学旅行などのイベントが開催されていて、生徒同士の交流の場になっています。
学校によってはボーリング大会やBBQ、ハロウィンパーティー、クリスマスパーティーなども催されているようです。
イベントをきっかけに友だちができることも多いので、学校行事がたくさんある通信制高校を選ぶ人もいます。
通信制高校の学校行事は、基本的に強制参加はありません。
「長時間のイベントはきついから短時間のものだけ参加したい」
「遠足はディズニーランドだから絶対参加する!」
など、自分が参加したいと思うイベントを選べるのも、通信制高校を選ぶメリットといえます。
卒業式
通信制高校は最短3年で卒業でき、学歴は全日制や定時制高校を同じ「高校卒業」となります。
卒業式は3月と9月に行われることが多く、制服やスーツで参加する人がほとんどです。
卒業式では卒業書書の授与が行われ、友だちや先生と写真を撮ったり、別れを惜しむ姿がみられます。
通信制高校を卒業したあとは
通信制高校を卒業したあとの進路は、以下のようになっています。
- 専修学校(専門課程)進学 …21.2%
- 大学等進学 …18.5%
- 就職 …19.6%
- (その他 …40.7%)
通信制高校の卒業生のおよそ6割が、進学か就職を選んでいるようです。
しかし残りの4割は、どんな進路を選んでいるのか気になるところだと思います。
4割の生徒の中には、プロスポーツ選手として活動を続けている人や芸能活動を継続している人、起業家、YouTuberなどが含まれます。
またアルバイトをしながらレッスンやオーディションを受ける人もいて、夢に向かって進んでいるケースが多いです。
通信制高校では、卒業したあとも引き続き進路相談をしてくれる学校もあり、生徒の頑張りをしっかりとサポートしてくれます。
通信制高校のメリット、デメリットについて詳しく知りたい方は是非 「【通信制高校に通う5つのメリットデメリット!対策も合わせてご紹介!」を参考にしてみてください!
通信制高校なら学力に自信がなくても志望校に入学できる!
通信制高校には留年がなく、また学力に自信がなくても合格しやすいことを解説しました。
自由な時間が手に入り、自分のペースで学習を進めていけるのが通信制高校の魅力です。
学業以外にもやりたいことがある方、出来るだけ登校したくない方は、通信制高校の学習スタイルにあっているでしょう。
通信制高校でも全日制高校と同じように、入学式や卒業式、学校行事などが楽しめ、友だちと交流を深めることもできます。
まずは、「自分が行きたい!」と思える学校を探すところから始めてみましょう。