通信制高校への転入と編入の違いは?どちらがいいか解説! 更新時間 2024.12.23
「学校を変えたいときはまず中退した方がいいの?」
「別の高校に移ったらどこからやり直しになるんだろう?」
この記事では、このような疑問や不安にお答えします。
高校に行きながら別の高校へ移るか、一旦学校を辞めてから再入学するか、2つは似ているようですが、実際にはまったく違う高校生活を送ることになります。
転入と編入の違いを理解して、どちらを選ぶべきかを考えていきましょう。
なお、通信制高校はどんな学校なのかについて気になる人は以下の記事をご覧ください。
通信制高校の転入と編入の違い
「転入」と「編入」って似ているようで、実はまったく違うものです。
通信制高校への転入と編入の違いについて簡単にまとめた表は以下のとおりです。
項目 | 転入 | 編入 |
---|---|---|
概要 | 在籍中の高校を辞めずに別の高校へ入学する(転校や転学と同義)。 | 以前の高校を退学後に、別の高校に再入学する。 |
空白期間 | 空白期間がなく、連続して学校に在籍する。 | 空白期間がある場合が多い。 |
卒業時期 | 同級生と同じタイミングで卒業を目指せる。 | 空白期間の影響で同級生より在籍期間が長くなる可能性があるが、タイミング次第では同級生と一緒に卒業できる場合もある。 |
2つの違いについて、詳しく説明していきますね。
転入は転校と同じ意味
転入とは、今在籍している学校を辞めずに別の高校へ入学することです。
つまり「転学」「転校」と同じ意味で、空白期間なく学校を変わることを指します。
学年の途中であっても、同級生と同じタイミングで卒業を目指すことが可能です。
編入は高校をやめた人がもう1度入学すること
編入とは、すでに以前の高校を退学した生徒が、他の高校に再入学することをいいます。
空白期間があるため、場合によっては同級生よりも長い期間、学校に在籍しなければなりません。
しかし「9月に中退して10月に編入する」といったタイミングで編入できた場合、同級生と一緒に卒業できる可能性が高くなります。
通信制高校の転入と編入では入学時期が異なる
転入するか編入するかを決める際、覚えておく必要があるのが「入学できる時期」です。
このタイミングを知らないと、のちのち後悔することになるますので、よく確認しておくことをおすすめします。
通信制高校の転入と編入についてそれぞれの入学時期を簡単にまとめた表は以下のとおりです。
項目 | 転入 | 編入 |
---|---|---|
入学時期 |
通年受け入れ可能な学校が多く、好きなタイミングで入学可能。 特に私立通信制高校は全国から生徒を募集している。 |
基本的に「4月」と「10月」に限定されるが、一部私立通信制高校では随時受付可能な場合もある。 |
履歴書への影響 | 空白期間がなく、中退や退学を記載する必要がない。 | 中退後の編入の場合、履歴書に「中退」を記載する必要がある。 |
転入の場合はいつでも入学できる
転入は時期を問わず、通年受け入れている学校が多いです。
とくに私立の通信制高校は全国から生徒を募集している学校が多いため、好きなタイミングに好きな学校へ移れるのがメリットになります。
空白期間なく学校を変われる転入は、就職の際の履歴書にも「中退」や「退学」と記載する必要はありません。
編入は4月と10月に限定される
編入の場合は、新しい学校に移れる時期が決まっていることがあります。
通信制高校の入学は、基本的に「4月」と「10月」になっており、編入もそれに合わせて行うことが多いです。
しかし、私立の通信制高校では随時受け付けている学校もあるので、よく確認してから手続きを進めましょう。
通信制高校に転入・編入した場合の単位の引き継ぎの違いは?
転入や編入おいて気になるのが、「以前の学校で取得した単位が新しい学校でも引き継げるか?」ということではないでしょうか。
ここでは、単位の引き継ぎについて分かりやすく解説していきます。
転入も編入も引き継げるのは前年度までの単位
転入でも編入でも、以前の学校で取得した単位が引き継げるため、1年生の学習からやり直す必要はありません。
しかし注意しなくてはならないのが、どちらの場合も「前年度までの単位しか引き継げない」という点です。
これは、全日制高校が「学年制」を採用していることに理由があります。
学年制は1年間をかけて単位を取得する仕組みになっているため、年度の途中で別の学校に移ったり中退したりした場合、その年度の単位は認定されない決まりです。
例えば、以前の高校が前期と後期の2期制を採用していたとします。
2年生の前期の単位を取り終えて転入・編入したとしても、次の学校で引き継げるのは1年生の単位のみになるということです。
なお、通信制高校への転入での単位の引き継ぎ方法についてより詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
通信制高校の転入はどうやって単位を引継ぐ?高1・高2の学年の途中での引継ぎ方を解説
空白期間がある編入学の方が不利
転入と編入のタイミングによっては、編入の方が単位の取得期間に関して不利になることが考えられます。
例えば2年生の5月ごろに転入した場合、残りの11ヶ月で1年間に必要な単位を取得するのは現実的に可能です。
しかし同じように2年生の5月に中退して、10月に編入すると、残りの半年で年間の単位を取得するのは不可能に近いでしょう。
短期間で多くの単位を取得できれば、同級生と同じタイミングで卒業できますが、かなりの努力が必要になります。
通信制高校への転入のメリットと注意点
通信制高校への転入する場合のメリットと注意点について解説します。
現在高校に在学している場合は、基本的に転入がおすすめです。
それぞれのメリットや注意点などについて見ていきましょう。
転入のメリット
通信制高校への転入のメリットについてご紹介します。
メリットを簡単にまとめると以下のようになります。
メリット | 内容 |
---|---|
希望時期に入学可能 | 入学時期が固定されていないため、自分の状況や希望に合わせて新しい環境で学び始められる。 |
単位を引き継げる場合がある | 現在の学校で修得した単位を活かせるため、効率的に卒業を目指せる。 |
同級生と同じタイミングで卒業可能 | 同学年の友人たちと一緒に卒業を目指しやすく、目標の明確化やモチベーション維持につながる。 |
履歴書に中退と書かなくて良い | 転入は退学扱いにならず、進学や就職活動でプラスとなる可能性が高い。 |
転入では、入学時期が固定されていないことが多いです。
自分の状況や希望に合わせて新しい環境で学び始められます。
学業を中断せずに継続したい学生にとって魅力的です。
また、転入では、現在の学校で修得した単位を引き継げる場合があります。
取得済みの単位を活かせるため、効率的に卒業を目指せます。
また、転入の場合、同じ学年の友人たちと一緒に卒業を目指しやすくなります。
目標の明確化やモチベーションの維持にもつながります。
最後に、転入は退学扱いにはならないため、履歴書にも中退と記載する必要がありません。
進学や就職活動の際にプラスとなる可能性が高いです。
通信制高校への転入の注意点
全日制高校から通信制高校へ転入する場合の注意点について以下の表に簡単にまとめました。
転入の注意点 | 内容 |
---|---|
自己管理能力が必要 | 自由度が高いため、スケジュール管理や学習計画を自分で立てるスキルが求められる。 |
単位取得のリスク | 計画的に学習を進められないと、単位取得や卒業が難しくなる可能性がある。 |
通信制高校は、全日制高校に比べて学習の自由度が高いです。
一方で、自分で計画を立てて学習を進める必要があります。
スケジュール管理や学習習慣を身につけていない場合、単位取得や卒業が困難になるリスクがあります。
通信制高校への編入のメリットと注意点
通信制高校への編入は、高校中退後に高卒資格取得を目指せる選択肢の1つです。
高校中退後の再挑戦や自分に合った学習スタイルを選べる方法となります。
しかし、通信制高校への編入にはメリットだけでなく注意すべき点も存在します。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
編入のメリット
通信制高校への編入のメリットを簡単にまとめた表は以下のとおりです。
メリット | 内容 |
---|---|
再学習の機会 | 一度学業を離れた後でも再び教育を受ける機会を得られ、高卒資格取得に向けて新たな一歩を踏み出せる。 |
ライフスタイルに合わせた学習 | 自分の生活スケジュールに合わせて学べるため、家庭や仕事と両立を目指す人に適している。 |
最小限の登校で単位取得可能 | 必要最低限の登校で単位を取得でき、柔軟な学習が可能。 |
ストレスの少ない環境 | リモート学習中心のため、人間関係のトラブルが少なく、安心して学びを進められる。 |
通信制高校への編入は、一度学業を離れた後でも、再び教育を受ける機会を得られます。
高卒資格の取得に向けて新たな一歩を踏み出せます。
また、通信制高校では、自分のライフスタイルやスケジュールに合わせた学び方が可能です。
家庭や仕事との両立を目指す人にも適した選択肢となります。
通信制高校では、必要最小限の登校で単位を取得可能です。
リモート学習中心のため、人間関係のトラブルに悩まされにくいという特徴があります。
ストレスの少ない学習環境で学びを進められます。
編入の注意点
一方で、編入を検討する際には以下の点に注意が必要です。
注意点 | 内容 |
---|---|
編入時期の制限 | 多くの通信制高校では編入時期が年に数回(主に4月や10月)に限られ、自分の都合に合わない場合がある。 |
卒業時期の不確実性 | 中退後の期間や取得済み単位数によっては、同年代の生徒と同時に卒業できない可能性がある。事前に卒業時期を確認する必要がある。 |
履歴書に中退の記載が必要 | 履歴書に中退を記載する際には、理由を前向きに説明できるよう準備が必要。ネガティブな印象を避けるための工夫が求められる。 |
多くの通信制高校では、編入が可能な時期が年に数回と制限されています。
一般的には学期の始まりである4月や10月になることが多いです。
自分の都合の良いタイミングでの入学が難しい場合があります。
また、前の学校を中退してからの期間や取得済みの単位数により、同年代の生徒と同時に卒業できない可能性があります。
卒業時期の見通しを事前に確認するようにしましょう。
また、高校を中退したことを履歴書に記載する必要があります。
進学や就職の際には高校中退した理由をきちんと説明できるよう準備しておく必要があります。
ネガティブな印象を避けるため、前向きなストーリーを伝える工夫が求められます。
通信制高校への編入は、学び直しを考える多くの方にとって有効な選択肢です。
事前にメリットとデメリットを十分に理解した上で計画を立てることが成功の鍵となります。
通信制高校への転入と編入ではどちらがいい?
転入と編入の違いについて解説してきましたが、
「今すぐ通っている学校を辞めたいけど、転入できるタイミングまで我慢した方がいいの?」
と疑問に思う方もいるかと思います。
どちらが良いかは、状況や体調によって変わってきますが、今も学校に通っているのなら「転入」を選ぶ方がいいでしょう。
まだ学校に在籍しているなら転入がベスト
高校卒業の条件は、以下のようになっています。
- 3年間で74単位以上を修得する
- 30単位時間以上の特別活動
- 3年以上の在籍
3つ目の「3年以上の在籍」に関しては、在籍期間も以前の学校から引き継げるようになっています。
転入の場合は、在籍期間を継ぎ目なく引き継げるため、同学年の人と同じタイミングで卒業することが可能です。
もし規定の単位数を満たしていたとしても、在籍日数が足りなければ卒業ができません。
よって、空白期間を生じない転入の方が有利に卒業できるようになっています。
通信制高校の編入について詳しく知りたい方は是非 「通信制高校への転入を考えている高校生の方へ」を参考にしてみてください!
一度高校を中退している場合は編入
一方で、編入が必要となるケースもあります。
現在高校に在籍している場合は転入が可能です。
すでに中退している場合は転入ができずに、高校に再入学する編入となります。
通信制高校への転入と編入の手続きや流れ
新しい高校を決めたら、今の学校に転校する旨を伝えたり、個人的に学校とやりとりをする必要があります。
本章では、転入と編入の流れや、必要な手続きについて簡潔に解説します。
転入の流れと手続き
転入する場合は、まず現在通っている高校に転校する旨を伝え、必要な書類を発行してもらいます。
新しい高校によって若干違いはありますが、基本的には以下の書類です。
- 在籍証明書(在学証明書)
- 成績証明書(単位修得証明書)
- 在籍校校長の転学照会書
書類を手に入れたら転校先の高校へ連絡を入れ、こちらからも転校の意思表示をします。
その際、転入試験を受ける必要がありますが、通信制高校の場合は「面接・筆記試験・作文」が行われることが多いです。
学力試験を行う場合は、「学力で合否を判断する」というより、「現在の学力を把握するための試験」と考えて問題ないでしょう。
編入の流れと手続き
編入の場合は、新しい学校と個人でのやり取りをすることがほとんどです。
ただし、編入に必要な書類がある場合には、以前通っていた高校へ書類発行をお願いする必要があります。
編入の際にも入試がありますが、転入と同様に「面接・筆記試験・作文」を行うことが一般的です。
一度高校を中退しているため、現在の学力に不安を感じる人も多いかもしれません。
しかし通信制高校「学力」よりも「やる気」を重視しており、入試で不合格になることはほとんどないと考えて大丈夫でしょう。
通信制高校の転入と編入についてもっと詳しく知りたい方は是非 「通信制高校の入学手続きは簡単?転入と編入についても解説」を参考にしてみてください!
私立の通信制高校なら転入と編入に大きな違いはない
転入と編入の違いについて、入学できる時期や流れなどをご紹介しました。
空白期間がない転入の方がおすすめですが、私立の通信制高校では入学時期などを柔軟に受け付けてくれる傾向があります。
公立の通信制高校では4月の年1回のみしか編入を受け付けていないのに対し、私立では複数回受け入れのタイミングがあるのも大きな違いです。
編入であっても本人の頑張り次第で、同級生と同じタイミングに卒業できる可能性が高まります。
まずは行きたい高校を絞って情報を収集し、転入や編入が可能かを問い合わせてみましょう。
その際に、以前の学校の単位がどこまで引き継げるかを確認して、今後の進め方を決めるのがベストな方法です。
通信制高校の私立と公立の違いについて詳しく知りたい方は是非 「通信制高校の私立と公立は何が違うの?学費・授業など徹底比較」を参考にしてみてください!