通信制高校の単位制について徹底解説!学年制と何が違うの? 更新時間 2024.09.25
通信制高校では、「単位制」と言われる仕組みを用いている学校が多いです。
しかし、一般的な学校の多くは「学年制」と呼ばれる仕組みが用いられています。
そのため、「単位制ってなんだろう?」と思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では通信制高校の「単位制」について、「学年制」との違いを交えながら解説していきます。
通信制高校の単位制ってどんな仕組み?単位制の特徴を紹介
通信制高校の多くは「単位制」が導入されています。
通信制高校を希望している方は、仕組みをしっかりと理解しておく必要があります。
「単位制」の仕組みと、メリット・デメリットを紹介していきます。
単位制の通信制高校の仕組みについて
「単位制」は1年間で取得しなくてはいけない単位の数が決まっていません。
3年間で決められた単位を修得することで卒業できます。
1年間で取得しなくてはならない単位数が決まっていないため、基本的には単位が足りなくても留年するということはありません。
しかし、3年間で卒業までに必要な単位数が取得できていない場合、卒業ができなくなってしまいます。
また、自分の興味に合わせてある程度カリキュラムを自由に組むことができるのも単位制の特徴です。
単位制高校に留年がない理由
単位制は年間の取得単位数が決まっていないので、単位が取得できなくても留年はありません。
しかし留年という概念はありませんが、卒業するためには必要な単位を取得する必要があります。
いつまでも単位を取得できないと、卒業までに何年もかかってしまうので要注意です。
単位制を導入する全日制高校が増えている
単位制が導入されたのは、昭和63年度です。
当時は定時制高校と通信制高校だけが単位制を採用していました。
しかし、平成5年度より全日制課程での設置も可能になってから、単位制を導入する全日制高校が増えています。
普通科以外にも、工業科や家庭科、芸術科、総合学科でも単位制が導入されています。
自分の学習スタイルに合った制度の高校を選びやすくなっています。
単位制のメリット・デメリット
単位制にも、メリットとデメリットが存在します。
単位制の特徴を理解したところで、メリットとデメリットについて紹介します!
単位制のメリット
単位制のメリットについてご紹介します。
- 自分の時間をたくさん取れる
- 一人ひとりの環境に柔軟に対応できる
- 年間の取得単位を生徒自身が決められる
- 自分の好きなペースで勉強できる
- 選択科目を自由に選べる
- 留年がない
- 転校しやすい
自分の時間をたくさん取れる
単位制の通信制高校でのメリットとして自分の時間をたくさん取れるという点があげられます。
単位制ではカリキュラムを自由に組めたり、通学回数も自分で決められたりするため、自由に使える時間が多いです。
自分の時間が多い分、アルバイトや趣味、夢に向かうために時間を使う方など大勢います。
学校に定期的に通うことが難しい人もいるのではないでしょうか?
そんな方でも高校卒業を取得することができるのは大きなメリットと言えます。
一人ひとりの環境に柔軟に対応できる
ほかにも、単位制の通信高校にはさまざまな人に対応できる環境が整っている点がメリットであげられます。
単位制の通信高校では、「不登校になってしまった方」「若いころに高校に通うことができなかった方」「事情があり、毎日の登校が難しい方」などといったさまざまな方が通っていることも特徴です。
そのため、「学年制」の学校に比べて、生徒に対して柔軟にサポートができる環境が整っています。
相談しやすいカウンセラーが在籍しており、学校に登校しなくても、自宅からレポートを提出できるなどの仕組みが整っています。
サポート体制の充実によってさまざまな人に対応することができ、どんな人でも学ぶことができるのはメリットの一つです。
年間の取得単位を生徒自身が決められる
通信制高校の単位制では、1年間に取得する単位を生徒自身で決められます。
卒業するためには、74単位以上の取得が必要です。
1年目の取得単位数が少なくても、2年目以降ですべて取得できれば卒業できます。
また、通信制高校の卒業に3年以上かけることも可能です。
自分の好きなペースで勉強できる
通信制高校では、毎日学校に通学する必要がありません。
登校日数は学校により異なり、年に数回の学校もあります。
また、全日制高校のように時間割がありません。
自分のペースで学習を進められることがメリットです。
選択科目を自由に選べる
単位制の学校では、選択科目を自由に選べます。
自分の進路に不要な科目は履修しないことが可能です。
また、自分の進学に合わせた科目を積極的に履修できます。
選択科目を自由に選べることがメリットです。
留年がない
単位制の場合は、学年ごとに取得が必要な単位が決められておりません。
したがって、単位制では留年の心配が不要です。
必要単位をすべて取得できれば卒業できます。
万が一単位を落としても、落とした単位のみを取得すれば良いです。
また、単位制であれば、1単位のみの支払いで済みます。
転校しやすい
単位制の場合は、前の学校で取得した単位を引き継げるという特徴があります。
とはいえ、転入時期によっては単位を引き継げない場合もあります。
通信制高校への転入での単位の引き継ぎについて気になる方は以下の記事をご覧ください。
通信制高校の転入はどうやって単位を引継ぐ?高1・高2の学年の途中での引継ぎ方を解説
単位制のデメリット
単位制のデメリットについてご紹介します。
- クラスメイトと一緒にいる時間が少ない
- 計画性が求められる
- 学校が少なく選択肢の幅が狭い
クラスメイトと一緒にいる時間が少ない
単位制の通信高校のデメリットとして、「クラスメイトと一緒にいる時間があまりとれない」という点があげられます。
通信制高校では、全日制の学校に比べると登校する日数が少ないです。
クラスなどもはっきりと決まっていないため、必然的にクラスメイトや先生との時間が少なくなってしまいます。
しかし、生徒数が少ないため先生とクラスメイトとの距離が近いです。
そのため、一人ひとりに合わせた対応ができ、通常の学校よりも密なコミュニケーションを取ることができます。
計画性が求められる
単位制では自分で授業を組む分、計画性が必要です。
自由に授業を受けられるというメリットがある分、好きな授業だけを選択していると将来の進路選択の幅を狭めてしまいます。
3年間で必要な単位をバランスよく取れるように、自分で履修を計画する力が求められます。
通信制高校で、一年で取得できる単位については、【徹底解説】通信制高校の一年間で取れる単位数という記事もチェックしてください!
学校が少なく選択肢の幅が狭い
日本の高校の多くは、学年制を採用している全日制高校です。
単位制の高校は、全日制高校に比べて少ないということがデメリット。
地元の高校に通いたい場合や自分の学習レベルに合った高校を選びたい場合などは選択肢が少ない可能性があります。
学校の選択肢が少ないことがデメリットとして挙げられます。
学年制ってどんな仕組み?学年制の特徴を紹介
続いて、「学年制」について紹介していきます。
全日制の学校では「学年制」の学校が多いため、イメージできる方も多いのではないでしょうか?
改めて、「学年制」について詳しく説明します。
学年制の仕組みについて
「学年制」は、「単位制」とは違い、1年間で取得しなければならない単位の数が決まっています。
1年間で決められた単位を修得できない場合、留年してしまいます。
留年をしてしまうと、1個下の学年の人たちと授業に参加しなくてはいけません。
単位制とは違い、すべての単位を1年間で修得することで、次の学年に進級することができます。
各学年に定められた単位を取得する必要がある
学年制は1学年ごとに必要な単位数が決まっているため、学年の終わりに取得していなければ進級できません。
学年制における単位は、学校によって定められた「基準以上の成績」と「出席日数」を満たすことで取得可能です。
欠席ばかりしている生徒や、赤点ばかり取ってしまう生徒は要注意です。
高校を卒業するのに必要な単位は、全日制も通信制も74単位以上と決まっています。
全日制高校では80単位以上のカリキュラムが組まれていることが多いです。
学年制には留年がある
留年になった場合、今まで取得した単位がリセットされます。
すべての科目を1から取得し直す必要があります。
1単位のために同じ学年をやり直さなくてはならないのです。
授業頻度が多くない科目の場合は、何度も休んでいたら留年になる可能性が出てきます。
学年制のメリット・デメリット
一般的に多い「学年制」にも、メリットとデメリットが存在します。
「学年制」でのメリットとデメリットについて紹介していきます。
学年制のメリット
学年制のメリットについてご紹介します。
- 学校の数が多く選択肢が広い
- 友達が作りやすい
- 3年間で卒業できる可能性が高い
- 自己管理が不要
学校の数が多く選択肢が広い
学校の中で最も多いのが「学年制」です。
そのため、学校の数も多く選択肢が広がるというメリットがあります。
家の近くの高校や、大学進学に強い高校など、自分の将来に合わせて高校を選ぶことができます。
友達が作りやすい
学年制では基本的に週5日間毎日通学します。
そのため、学校行事や部活動なども盛んで友達が作りやすい環境が整っています。
クラスも決まっており毎日同じ授業を受けるため、コミュニケーションを取る機会も多く仲が深まりやすいです。
3年間で卒業できる可能性が高い
全日制高校の学生の卒業率は約94%とされています。
100人のうち94人は卒業できている計算です。
全日制高校では3年間で卒業できるような取り組みがされていることが多いです。
自己管理が不要
全日制高校は自由度は低めですが、学年制で留年する生徒の割合は低いです。
赤点をとっても追試や補修授業で進級させようとする取り組みがあります。
通信制高校に比べて、自己管理する必要がありません。
学年制のデメリット
学年制のデメリットについてご紹介します。
- 留年がある
- 自由な時間が少ない
- 留年すると学費が多くかかってしまう
- 留年しても進級できない可能性がある
- 規則が厳しい学校が多い
留年がある
「学年制」では、1年ごとに単位が足りていないと留年になってしまう恐れがあります。
「単位制」では、学年ごとに留年はありませんが、「学年制」では存在します。
休みがちになってしまったり、テストに合格できなかったりすると、単位が修得できません。
自由な時間が少ない
また、「学年制」では「単位制」に比べて自由な時間が少なくなってしまいます。
朝から夕方まで学校で時間割が決められており、学校によっては拘束が厳しいところも多いです。
学校が遠いと通学にも時間がかかるので、結果的に自由に使える時間は少なくなります。留年すると学費が多くかかってしまう
学年制の場合、1年間に必要な単位を取得できないと留年してしまうというデメリットがあります。
留年した場合は、もう一度同じ学年の授業を繰り返し受ける必要があります。
余計な学費がかかるということがデメリットです。
留年しても進級できない可能性がある
学年制は留年があり、留年したからといって翌年に進級できるとは限りません。
さらに余計な費用と時間を費やす可能性があります。
また、学年下の生徒と同じクラスになり、孤立してしまうリスクもあります。
孤立感や同級生がすでに卒業していることから、退学してしまう生徒も少なくないようです。
規則が厳しい学校が多い
全日制高校の場合は、毎日学校に通学が必要となります。
また、規則が厳しく違反すると謹慎処分などを受ける場合があります。
毎日学校に通い、規則に則った生活が必要です。
単位制と学年制の違いは単位を修得するペース
「単位制」と「学年制」の大きな違いとして挙げられるのは、単位の修得するペースの違いです。
「学年制」の場合は、1学年ごとに取得しなくてはいけない単位数が決まっています。
それに比べて、「単位制」の場合は決まっていません。
3年間で決められた単位を取得することができれば、卒業できます。
自分で学習ペースを決められるかどうかが「単位制」と「学年制」の大きな違いです。
単位制の通信制高校が向いている人の特徴
次に、単位制の通信高校が向いている人の特徴について紹介していきます。
単位制の通信制高校には様々な特色があるため、自分に合っているのか確認してみましょう。
興味に合わせて科目を選択していきたい人
多くの単位制の通信制高校では、興味に合わせて科目を選択していくことが可能です。
そのため、自分で時間割を調整して自分が好きな科目に注力して選べることができます。
通信制では様々な選択科目があり少人数での授業も多いので、自分で科目を選択したい人はおすすめです。
自分のペースで学びたい人
単位制の通信制高校では、自分のペースで授業を決めることができます。基本的に学年の区別がありません。
3年間で必要単位を取得することができれば卒業できるため、自分のペースで学びたい人にはおすすめです。
クラスや学年に縛られたくない人
生徒は様々な人たちが在籍しており、それぞれ自由に科目を選択します。
一般的な学校のように「クラス」がないため、集団行動や人間関係が苦手という方は過ごしやすいです。
自己管理ができる人
単位制の通信制高校の場合は自由な時間が多い反面、本人のやる気がないと学習の進行に支障をきたす場合があります。
自分のペースで学習が進められるメリットがある反面、決められた課題をきちんとこなせる自己管理能力が必要です。
レポートの期限を守ったりスクーリング日にきちんと登校したりできる人に向いています。
目標が明確な人
通信制高校へ進学する人の中には、芸能界やプロスポーツ選手などを目指している人もいます。
また、通信制高校では特定の分野に特化した専門コースを設けている学校もあります。
資格を取得するために通信制高校を選ぶ人も増えているようです。
やりたいことや目的が明確にある人は、学業以外に専念する時間が取れる単位制に向いていると言えます。
学校への登校が難しい人
何らかの事情で毎日学校に通えない人は、単位制を選んだほうが留年のリスクが少なくなります。
病気や不登校で出席日数が足りず、テストや学習の理解度に問題がなくても留年してしまう可能性があります。
通信制高校の単位制の場合は、基本的に自宅学習です。
学校に通わなくとも高校卒業の資格を取得できます。
学年制が向いている人の特徴
一般的な学校で採用されている「学年制」。
「学年制」が向いている人の特徴を紹介していきます。
ぜひ、参考にしてみてください。
学校に決められたペースで学びたい人
「単位制」とは違い、学校に決められた科目を受けることができます。
学校側がある程度、時間割を統一して作ってもらうことができます。
自分で計画して授業を決める必要はないですし、幅広い知識を付けていきたい方におすすめです。
毎朝決まった時間に登下校したい人
基本的には毎日、生徒全員が同じ時間に登下校をします。
生活リズムを意識して、決まった時間で過ごすことが学年制の学校では可能です。
「単位制」は人によって登校時間が異なるため、毎日同じ時間で生活をしていきたい人は「学年制」の学校がおすすめです。
行事や部活動に積極的に参加したい人
体育祭や文化祭、部活動などに積極的に参加したい方は「学年制」がおすすめです。
単位制の通信制高校では生徒全員が集まれる機会が少ないため、行事や部活動は単位制の学校に比べると減ってしまいます。
クラスメイトと積極的に行事や部活動に参加していくことを目的としている方は、「学年制」の学校を選択するといいでしょう。
単位制の通信制高校を卒業するためには何が必要なの?
単位制の通信制高校では、卒業をするために一定の条件を満たさなくてはいけません。
卒業をするための必要要件を詳しく紹介いたします。
単位制の通信制高校に興味のある方はチェックしておきましょう。
74単位以上を修得する必要がある
卒業の必要単位として、74単位を修得する必要があります。
しかし、「単位制」のため、学年の枠にとらわれることなく自分のペースで取得することが可能です。
3年以上かけて、74単位以上を修得することも問題ありません。
3年以上の在籍が必要
単位制の通信高校に限られた話ではありませんが、高校の卒業資格を取得するためには、「3年間以上の在籍が必要である」と学校教育法で決められています。
また、1年間で修得することができる単位数に上限があるため、どれだけ早く単位を修得しても、3年間以上在籍しなくては卒業ができません。
30単位分の特別活動を行う必要がある
単位制の通信制高校では、30単位分の特別活動への参加が必要です。
特別活動とは、授業以外の学校行事のことを指します。
清掃活動やボランティアなどさまざまな人との関りが必要です。
特別授業を通じて協調性を高める目的があり、ほとんどの単位制での学校で用いられています。
通信制高校の単位制に関するよくある質問
通信制高校の単位制に関するよくある質問についてご紹介します。
- 通信制高校は単位制ですか?
- 通信制高校の単位はどうやって取りますか?
- 通信高校で1年間で取れる単位はいくつですか?
通信制高校は単位制ですか?
はい、通信制高校は一般的に単位制を採用しています。
単位制では、生徒が自分のペースで科目を選択し、卒業に必要な単位を取得できます。
生徒は自分のライフスタイルや学習スタイルに合わせて勉強を進められることが特徴です。
通信制高校の単位はどうやって取りますか?
通信制高校の単位は、レポートの提出とスクーリングを通じて取得します。
選択した科目の課題やレポートの作成やスクーリングで授業を受けることで単位を取得することが一般的です。
学校によって異なる単位取得の方法が設定されている場合がありますため、希望する学校のホームページをよく確認するようにしましょう。
通信高校で1年間で取れる単位はいくつですか?
通信制高校では年間で取得できる単位数は学校により差がありますが、約35単位に設定されていることが多いです。
2年間で卒業に必要な74単位をすべて取得することは難しいです。
また、高校卒業資格を得るためには、3年以上の在籍が必要になります。
計画的に単位を取得することが大切です。
なお、通信制高校で1年間に取得できる単位数についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
自分に合った学校を見極めよう!
高校には、「単位制」「学年制」などさまざまな学校が存在しています。
間違った選択をしないためにも、自分に合った学校を見極める必要があります!
数ある学校のなかから自分に合う学校を選ぶためには、その学校の仕組みや特徴を細かくチェックして、調べておくようにしましょう。
学校選びは誰しも迷ってしまいますよね。
自分一人で悩むのではなく、親や先生、友達など周りに相談するとアドバイスをもらえるはずです。
自分自身を見つめなおして、自分に合った学校はどこなのかを明確にすることで、学校選びを成功させることができます。
通信制高校を選ぶ際には、通信制高校を比較する際のポイントとは?ジャンル別のおすすめも紹介!という記事もチェックしてください!
将来のためにも、目標とする志望校に入学できるように頑張りましょう!