通信制高校の転入はどうやって単位を引継ぐ?高1・高2の学年の途中での引継ぎ方を解説 更新時間 2024.09.09
通信制高校への転入や編入を検討されている方は、 「前の高校の単位はどれくらい引き継げるの?」 「友だちと同じ年度で卒業できるのかな?」 など、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
じつは、全日制高校と通信制高校では単位の習得方法が異なり、転入するタイミングによって引き継げる単位数が変わってきます。
さらに卒業できる時期を知るには、転入と編入の仕組みを理解した上で単位数を計算しなくてはなりません。
この記事では、通信制高校へ転入する際の単位数の引き継ぎ方法や、卒業までにかかる年数の調べ方を紹介します。
通信制高校へ転入する際の単位引き継ぎについて
通信制高校へ転入する際には、これまで習得した単位を引き継ぐことなります。
転校しても同級生と同じ時期で卒業できるのはそのためです。
しかし転入するタイミングや時期によって、引き継げる単位が少なくなってしまうことがあるので注意が必要です。
まずは単位制の意味をしっかり理解し、どのくらい単位が引き継げるのか考えてみましょう。
単位ってそもそも何?
高校を卒業するためには単位を習得する必要がありますが、「そもそも単位って何?」という方も少ないでしょう。
とくに学年制を採用している全日制高校では、単位を習得している実感が湧きにくいものです。
全日制高校における単位とは、「科目の履修に必要な授業の時間数」を表しています。
例えば週に1回の授業を年間35回受けると35時間となり、それを「1単位」とします。
国語総合が4単位必要なら、週に4時間の授業を年間で140時間受けるということです。
一方で、通信制高校は1単位につきレポートを3回提出します。
3単位必要な場合は、レポートを9回提出するということです。
そしていずれの高校も、卒業するためには74単位の習得が必要になり、3年間ですべて履修することで卒業資格が得られます。
学年制と単位制の違い
多くの全日制高校は「学年制」を、通信制高校は「単位制」を導入しており、制度ごとに単位の取り方が異なります。
全日制高校では、単位を1つでも落とすと留年になり、同じ学年をもう1度やり直さなくてはいけません。
ほかの科目は単位習得できていたとしても、1単位のために留年になるのが学年制の特徴でありデメリットです。
一方で単位制の通信制高校は、1単位を落とした場合でも、翌年に落とした科目だけ取り直しできます。
これが単位制のメリットで、全日制高校のように学年をやり直す必要がないため、通信制高校には「留年」という概念がありません。
通信制高校とサポート校の違いに関するさらに詳しい内容は、「どう違うの?通信制高校とサポート校の違いをご紹介」をご覧ください!
通信制高校へ転入する際の単位引き継ぎの注意点
全日制から通信制高校へ転入する際には、これまでの学習が無駄にならないよう、全日制高校で習得した単位を引き継ぐことが可能です。
しかし転入時期やタイミングによって引き継げないケースもあるので、注意しなくてはなりません。
ここでは、単位引き継ぎの注意点を詳しく解説していきます。
「今年留年してしまうかも・・・」という方も必見です!
全日制高校を中退してしまうと引き継げる単位は前年度まで
全日制高校から通信制高校へ転入する場合、以前の学校で習得した単位を引き継げます。
例えば、3年生から転入することになっても、1年生の学習からやり直す必要はありませんよね。
しかし注意しなくてはならないのが、転入・編入どちらの場合も「前年度までの単位しか引き継ぐことができない」という点です。
つまり2年生の途中で転入した場合は、1年生で習得した単位のみが引き継げることになり、2年途中までのせっかく取得した単位が無駄になってしまいます。
また1年生は基本的に単位を持っていないので、学年途中での転入は引き継げる単位がありません。
これは、全日制高校が「学年制」を採用していることに理由があります。
学年制は1年間をかけて単位を取得する仕組みになっているため、年度の途中で別の学校に移ったり中退したりした場合、その年度の単位は認定されない決まりです。
転入の場合は単位修得の続きを引き継げる
学年の途中からの転入は、すべての単位が引き継がれないと言いましたが、学校、もしくは転入のタイミングによって考慮してくれるケースもあります。
1年生の2月に転入する場合、ほとんどの単位を習得していることになりますよね。
すると転入先によっては、単位修得のカリキュラムを配慮してくれることもあるようです。
ここは転入先の学校とよく相談して、できるだけ調整してもらえるようお願いしてみましょう。
留年しそうなら年度末に通信制高校へ転入する
「全日制高校を留年しそうだから中退しよう」という方、待ってください!
年度の途中でやめると、これまで受けた授業が白紙に戻り、単位が無駄になってしまいます。
転入・編入・中退を検討している方は、年度の終わりの3月31日のタイミングで行動するのがおすすめです。
年度末まで在籍していれば科目の履修終了として認められ、転入先に引き継ぐことができます。
また中退した場合でも、「また高校に通いたい」と思ったとき、少ない単位数で卒業できるようになるでしょう。
全日制高校と通信制高校の違いについて詳しく知りたい方は、「通信制高校も選択肢tとして考えたい!全日制・定時制との違いとその魅力とは!」をご覧ください!
卒業に必要な単位数の調べ方
最後に、あとどれだけ単位を習得すれば卒業できるか、その調べ方と計算方法を解説していきます。
調べ方は、以下の3つの手順で進めていきます。
1. 単位修得証明書の発行を依頼する
2. 卒業に必要な単位数を計算する
3. 転入先の単位修得上限を確認する
では、各項目を詳しく説明しましょう。
1. 単位修得証明書の発行を依頼する
まずは、現在在籍している学校(中退者はやめた学校)に「単位修得証明書」の発行を依頼しましょう。
証明書の発行には申請書の提出が必要です。
学校に問い合わせるか、文部科学省のサイトから入手できます。
このとき、必ず「2通」発行してもらうのを忘れないようしましょう。
単位修得証明書は封を開けてしまうと受理されず、無効となってしまいます。
そのため、1通は転入先への提出用として、もう1通は自分の確認用として取得しておきましょう。
2. 卒業に必要な単位数を計算する
単位修得証明書をもとに、卒業に必要な単位数を計算してみましょう。
卒業には「74単位」が必要になるので、以下の計算で残りの単位数が算出されます。
- 74単位 − すでに習得済みの単位 = 卒業までに必要な単位数
全日制高校では、3年間で80〜90単位ほど取得するため、1年間で30単位ほど取得されていることが多いでしょう。
3. 転入先の単位修得上限を確認する
続いて、卒業までにかかる年数を割り出すため、「単位修得上限」を確認します。
単位修得上限とは、「1年間に習得できる単位数の上限」のことで、学校ごとに異なります。
一般的に25〜30単位で設定されていることが多く、それ以上の単位を習得することはできません。
2年生1学期で、全日制高校から通信制高校に転入したい際の計算方法をご覧ください。
・1年生で30単位習得済み、2年生の単位は無効
74単位 ー 30単位 = 44単位
・転入先の単位修得上限が25単位だった場合
44単位 ÷ 25 = 1.75
卒業までには約2年かかることがわかります。
通信制高校へ転校するなら「中退」よりも「転入」がおすすめ!
全日制高校から通信制高校へ転入する際には単位の引き継ぎができ、これまで習得した単位が無駄になりません。
しかし1度中退して編入する場合、前年度の単位しか引き継げないのがデメリットです。
転入であれば考慮してもらえることが多々ありますし、入学も随時受け付けている学校がたくさんあります。
編入時期は4月と10月に限定されていることも多いので、ブランク期間が増え卒業が遅れてしまう可能性が高いです。
転入が決まったら、これまで習得した単位を計算して、同級生と同じタイミングで卒業できるよう確認しておきましょう。
在宅で学習を継続する方法を知りたい方は、「通信制高校は在宅学習がメイン!在宅でも継続できる学習方法のコツも紹介!」をご覧ください!